ランプの精ジーニーやアバター、X-MENのミスティークなど、フィクション作品では青い肌を持つキャラクターが登場します。
しかしこれは何もフィクションに限った話ではありません。
世界では実際に、全身の皮膚が青色に変色してしまった人々の症例がいくつも報告されているのです。
これは医学的に「銀皮症(ぎんぴしょう)」と呼ばれています。
では、銀皮症とは何が原因で発症する病気なのでしょう?
また銀皮症は命に関わることなのでしょうか?
目次
- どうして皮膚が青色になるの?
- 世界一有名な「青い肌」を持つ男性
どうして皮膚が青色になるの?
銀皮症は名前にもある通り、「銀」によって引き起こされる体の色素増強作用のことを指します。
銀皮症において最も際立つ症状は、皮膚が青色もしくは青みがかった灰色に変色することです。
この変色は局所的に起こる場合もあれば、全身に広がる場合もあり、また皮膚だけでなく、眼球が青色に変わることもあります。
銀皮症は最近知られた病気ではなく、歴史的に見ると19世紀にはすでに広く認知されていました。
特に当時は「銀で体の色が変わる」という認識もなかったため、銀の製造工場で働く労働者たちが大量の銀もしくは銀の化合物にさらされ、それを吸入することがよくありました。
そして数カ月〜数年の長期間にわたって銀を吸入した人々に銀皮症の症状が見られたのです。
加えて、当時は銀を病気の治療に使用することも普通でした。
微細な銀粒子を液体に混ぜた「コロイド状銀」がさまざまな病気を治療するための内服薬として用いられていたのです(抗菌作用などから現代でも使用されますが、医療の現場では慎重に利用されています)。
そうした医学的知識不足の背景からか、銀皮症は現代よりも19世紀から20世紀にかけてよく見られました。