■極孔神仮説が天皇制の起源に新しい視点を与える
――なるほど。では先ほど話に出た縄文記号や縄文神聖数の解説をお願いします。それらによって何がわかるのでしょうか。
羽仁:縄文記号とは、日本の縄文時代に用いられていた、極孔神信仰に関連する一種の記号です。文字といえるほど整理されたものではありませんが、それぞれが極孔神信仰に関する重要な概念を象徴するものです。
縄文記号は渦巻きや同心円模様、C字模様やS字模様、X字、格子模様などさまざまな形をしており、一見模様のように思われますが、それぞれが単独で独自の意味を表示できるものです。
全部で何種類の「縄文記号」が存在するのかは不明ですが、斎藤守弘さんは35種類ほどの意味を解読したと述べています。
同じように、縄文三大至高神のそれぞれには対応する数字があり、それにより極孔神信仰の重要な概念を示すことができます。
これらの縄文記号や縄文神聖数が世界中で見つかるということは、極孔神が世界中で崇拝されていたことを意味します。遠く離れた見知らぬ土地の住民であっても、こうした縄文記号や縄文神聖数を通じて、お互いに同じ神を信仰していることが理解できたのです。
――極孔神仮説によって天皇(制)については何がわかりますか。
羽仁:極孔神仮説を考慮すると、日本の天皇制の起源に関しても新しい見方ができます。
日本の皇室の先祖はアマテラスという太陽神とされていますが、斎藤守弘さんはこれに異を唱えました。
極孔神信仰を前提に『古事記』や『日本書紀』を読み解くと、アマテラスはじつは極孔神に仕える巫女(みこ)だったと解釈できるのです。皇室の本当の祖先は月神であるタカミムスヒであり、このことは皇室の先祖を祀る宮中三殿にアマテラスは祀られておらず、タカミムスヒが祀られていることからも明らかです。
さらに日本からいくつか出土している仮面土偶も、男性が女性に扮している様子をかたどったものであり、女性中心社会が男性中心社会に移行し、やがて天皇制が生まれる過程を示唆するものとなります。
――魔術や超常現象全般に詳しい羽仁さんから見て、極孔神仮説のすごいところはどこでしょうか。
羽仁:極孔神仮説は、これまでの古代史の常識を根底からくつがえす壮大な仮説です。
古代世界のほとんど全域で同じ神格が崇拝されていたというスケールの大きさ、男女平等を体現した縄文社会の実像とその崩壊、各地の神話や民間信仰に残る極孔神の痕跡など、引き続き研究が必要だと思います。
――昨今、世界は不安や混乱に満ちているように見えます。いまこの本を読むことにどのような意味があると思いますか。
羽仁:縄文時代は、男女平等で、争いのない平和な時代だったといわれています。極孔神信仰は、こうした時代を象徴する宗教だったといえます。
世界中の人類が共通の困難に直面している現在、極孔神信仰が再び世に出ることは、象徴的といえるでしょう。かつて人類のほとんどが同じ神を信じる平和な時代があったという事実は、人類は本来ひとつなのだという認識を新たにさせるものではないでしょうか。
斎藤守弘(さいとう・もりひろ)
1932年生まれ、2017年没。前衛科学評論家、SF作家、超古代文明研究家。日本考古学会会員、日本天文学会会員。超歴史学研究会理事。著書多数。
羽仁礼(はに・れい)
ASIOS(超常現象の懐疑的調査のための会)創設会員、一般社団法人 超常現象情報研究センター主任研究員。著書に『超常現象大事典』(成甲書房)、『図解西洋占星術』(新紀元社)他。2022年4月に本名(松岡信宏)で『世界のオカルト遺産 調べてきました』(彩図社)を出版した。
提供元・TOCANA
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