Q. お年寄りの自己負担を増やしたら家族の負担が増えるんじゃないでしょうか?

健康保険は個人単位なので、高齢者の医療費を家族がはらう義務はありません。高齢者でも国民年金に入っていれば月額6.5万円の年金がもらえるので、寝たきりだったら国民年金で払えます。

活動している高齢者でも、貯蓄を取り崩せば払えるでしょう。家族の負担が増えることは、ほとんどありません。

Q. この上限は高度医療でも同じですか?

高価な手術や抗癌剤でも、同じように適用されます。たとえばこの102歳の患者はTAVI弁という先端医療の手術を受け、手術費が500万円かかりましたが、本人の自己負担は2万4600円でした。

Q. 残りの498万円は誰がはらうんでしょうか?

これも保険医療ですから、手術代のほとんどは全国の健康保険加入者が負担するわけです。

Q. そんなことしたら健康保険が赤字になるんじゃないですか?

75歳以上の後期高齢者医療制度は、保険医療費15.3兆円のうち保険料収入が1.3兆円しかないので、14兆円の赤字です。この半分を税金で埋め、残りの4割を現役世代からの「支援金」で埋めています。

Q. 高額療養費は全部でどれぐらいかかってるんですか?

次の図のように年間6000万件で、支給総額は2.6兆円です。保険医療費46兆円の6%が高額療養費で支給されているわけです。

厚労省の資料

Q. 後期高齢者が3割負担になっても、生活が破綻することはないわけですね?

はい。逆にいうと3割負担にしただけでは、健康保険の赤字はそれほど減りません。これは風邪や花粉症で医者に行く高齢者の受診抑制がねらいです。保険の赤字を減らすには、高額療養費制度の見直しも必要です。

提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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