- COP28開催
COP28がUAEのドバイで始まった。今年の会議で、化石燃料の未来に加えて大きな問題となっているのは「損害と損傷」であるが、10月21日の予備会合では成果もなく終わっている。
COPでは、毎回多くの関係者が海外からジェット機で駆け付ける。脱炭素実現のための「CO2排出の削減や化石燃料を使わない」という交渉はまとまらず、徹夜が続きぎりぎりの努力が「成果」を齎したと報道される。
過去27回続いたCOPの成果を挙げるとすれば、ミレニアム以降はそれほど上昇を見せない大気温度と上昇を続けるCO2とである。27回の会議で費やした費用の総額と排出したCO2はどれほどになるのであろうか?
CO2を目の敵にしている環境原理主義者が「オンライン会議」を提唱し、それを実行すれば、大量のCO2は排出されず相当な金額も節約でき、それを世界の食糧問題や貧困、教育のために活用すればずっと有益であろうに・・・。
- 主要国の動き
さて、主要国の最近の動きはどうなっているのだろうか?
アメリカ米国については、2006年以降、2022年には1990年レベルの年間50億トンにCO2排出量を削減したといわれている。例えば、テキサス州は再生可能エネルギーへの移行を主導しており、石炭発電所を閉鎖する中、それに代わって、風力発電および太陽光発電を導入し、発電の45%を占めるようになった。
風力および太陽光の支持者は、偏在性や間欠的などの問題点を解決するために蓄電システムを構築すれば、予備の発電システムが不要になると主張するが、以下の理由によって、多くのアナリストによって否定されている。
これらの電源は、バックアップのために重複する発電システムのコストに加えて、電力需要が集中する都市部と自然エネルギーが豊富な遠隔地域を接続するために構築する、大規模送電ネットワークのコストが発生する。風力および太陽光は、キロワット時あたりの限界コストでみると良く見えるが、グリッドスケールで見ると、総合的なシステムコストが増加する。総合的システムコストこそが重要であり、風力および太陽光を導入すればするほど、そのコストは増大し、電気料金の形で消費者に転嫁されることが多い。
日本経済新聞は、「再エネ拡大『30年に3倍』、COP28で118カ国誓約」と報じている。内容の信憑性に疑問はあるが、結局は、我々消費者やメーカーなどが、高いつけを払うことになるのだろうか?
また、バイデン政権は、2032年以降の新車販売はEVという政策を打ち出している。これに対して、米国の3800もの自動車ディーラーから、バイデン大統領に、「Request to Reconsider Proposed Regulations on Battery Electric Vehicles」という書簡が出されている。
要約すると、
自動車ディーラーからの共通の懸念として、
提案された電気自動車(BEV)規制が急速すぎ、顧客の需要に対応していない。 多くの未販売のBEVがディーラーに積み残っている。顧客はこの技術を受け入れる準備ができていない。 価格割引や補助金にもかかわらず、BEVの需要は期待を下回っている。 BEV技術、コスト、インフラ整備、鉱物の調達などの課題を克服するために時間をかけるべきであり、より持続可能な形で市場に供給しなければならない。 ドイツドイツについては、2010年末に第二次メルケル政権の下で、2022年に脱原発、2050年までに脱化石化し、既存の化石・原子力から再生可能エネルギーに転換するというエネルギーヴェンデ(エネルギー大転換)を発表した。最近の電源構成は以下の通りである。
ドイツにおける一次エネルギーの消費を見ると、再生可能エネルギー(風力、太陽光、動植物由来のバイオマス)の占める割合は14.9%、化石燃料が78%であり、依然、化石燃料に対する需要が大きいことが示されている。
ドイツは、昨年、風力と太陽光が安定的にエネルギーを提供できなかったことと、ロシアからの天然ガス供給のボイコットにより電気料金が高騰したため、生産コストが増大して産業競争力を弱まったなどの理由により、多くの製造業者がアジアに工場を移転しているという。その対策として、廃止を発表していた約20基の石炭火力発電所の再起動または閉鎖を延期せざるを得なくなった。
これは、現在ヨーロッパ全体で方針の一部が見直されつつある証左であり、ネットゼロの指令からの撤退の一環とも捉えられる。この見直しには、内燃エンジンやガスストーブの禁止の延期も含まれている。
ビジネス
2025/01/19
COP28開催:世界の化石燃料は依然としてエネルギー消費の80%
『アゴラ 言論プラットフォーム』より
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