「走行安全への影響はもちろん十分考えられます」

 アッパーマウントの破断というのは、よくあることなのか。中古車販売店経営者で自動車ライターの桑野将二郎氏はいう。

「アッパーマウントは、車種に関係なく消耗部品の一部と捉えるのが妥当かと思われます。ゴムや樹脂の部品は経年変化によって、乗っていなくても素材の劣化が進みます。アッパーマウントは、車両の上下運動を制御するショックアブソーバーの頭頂部をボディ側に取り付ける、ゴムと金属を組み合わせたような部品で、劣化してくるとゴム痩せによってガタつきが生じ、異音や振動が起こり、最終的に破断して砕けてしまうと、ショックアブソーバーの上部が外れてしまう可能性もあります。こうした症状は、走行距離の多い中古車にはよく見られることで、新車登録時から年数が経っている中古車は走行距離が少なくても素材の硬化などでヒビが入り、破断することもあります。

 話題となっているユーザの車両がどれくらいの年式でどれくらいの走行距離の中古車だったのかわかりませんが、日産リーフのアッパーマウントの不具合については同じような症例が当店の入庫車両でも過去にありましたし、珍しくはないのかもしれません。ただ、錆によってボルトが欠損したり、破断するという状態になる前に、ユーザが異変に気付いてディーラーなり整備工場に入庫するのが一般的だと思いますので、ユーザがどういう使用条件で、どれくらいの距離を乗られていたのかによって、問題性は変わってくるようにも考えられます」

 アッパーマウントの破断による走行への影響として、安全に問題が生じる可能性などは考えられるか。

「足回り部品のなかでも、ショックアブソーバーと車体をつなぐ支点となる重要な部品ですので、走行安全への影響はもちろん十分考えられます。破損状態に至るまでに、ハンドルを切った時や走行中凸凹を越えた際にガタガタと異音や振動が出ますので、ドライバーはすぐに異常を感じるはずです。その時点で修理対応をしておけば大きな問題にはつながりませんが、そのまま乗り続けるとアッパーマウントの破損だけでなく、他の箇所へも影響を及ぼして修理費用が余計に高くついてしまうケースもあります」(桑野氏)