真贋論争と科学的検証
剣の柄に含まれる木材の放射性炭素年代測定により、埋葬された時期は紀元前1600年から1560年の間と特定された。しかし、ネブラ・ディスク自体の腐食は、埋葬された時点で既に数百年経過していたことを示唆していた。
円盤の希少性、出所の不確実性、そして当時の偽造遺物の横行から、その真贋を疑う声が上がった。そこで、2002年に円盤から金属片が採取され、冶金学的調査が行われた。その結果、青銅に使用されている銅はオーストリアアルプスの特定の青銅器時代の鉱山から産出されたものであることが判明した。さらに、最も古い金の象嵌はイギリスのコーンウォール産の鉱石に由来することがわかった。
近年、最新の科学技術を用いた再調査が行われた。微細構造分析、X線分光法、電子後方散乱回折などにより、円盤の表面と結晶構造が詳細に分析された。その結果、ネブラ・ディスクは単純な青銅板ではないことが明らかになった。「円盤の入手から20年以上経て、このような根本的に新しい発見が得られたという事実は、この世紀の発見の並外れた性質を示すだけでなく、青銅器時代初期の金属加工技術がいかに高度に発達していたかを示している」と考古学者のハラルド・メラー博士は述べている。