中国側にとってバルカンの盟主セルビアはギリシャのビレウス湾岸から欧州市場を結ぶ中継地として重要な位置にある。習近平国家主席が提唱した新シルクロード構想「一帯一路」計画でセルビアは重要な拠点だ。習近平国家主席は2022年2月5日、北京冬季五輪開会式に出席するため訪中したセルビアのヴチッチ大統領と会談し、「中国とセルビアは互いに頼りになる友人であり、両国は高度の政治的相互信頼で結ばれており、両国関係は近年、飛躍的に発展してきた」と述べている。

ちなみに、ユーゴスラビア解体後の1990年代、バルカン半島で民族紛争が勃発、1999年のコソボ紛争、それに伴うNATO主導の軍事介入(空爆)があったが、米軍のベオグラード空爆はセルビア国民にその後「米国憎し」という感情を与えてしまった。米国はコソボの独立を支持したこともあって、セルビアとの関係に緊張をもたらしてきたが、米国はセルビアに対し、経済協力を通じた関係改善を図っているが、セルビアのエネルギー産業がロシアと密接に結びついているため、米国は警戒を強めているわけだ。

編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2025年1月14日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。