旧宮家に皇族復帰(養子縁組)には、憲法上の疑義があると指摘する専門家もおります。「憲法が禁じる門地(家柄)による差別に該当する」という。もしその案が決まったら、訴訟を起し、議論したらよい。
とにかく、いまだに「日本の天皇制は万世一系、男系男子が継承する」という頑な皇室観が支配し、「男系男子」にこだわる。それが皇室制度の安定を損なっていく。墓穴を掘ることになる。そうとしか思えません。
「日本の天皇は万世一系。古代以来今日まで連綿と続いてきた」と保守派は主張します。史実に基づけば、学者は「第一代神武天皇から14代仲哀天皇までは実在が確認できない。『神話時代』の天皇である」(歴代天皇総覧/笠原英彦著)と指摘します。「万世一系」は史実ではなく神話です。
さらに「明治維新では、天皇の権威が活用された。明治政府が神武天皇の即位から始まる元号を制定した。紀元節2月11日は即位の日とされ、明治23年には、神武天皇を祭神とする樫原神宮が創建された」(古市憲寿著、新潮新書)と、歴史学者は主張します。国家を権威つけるために、天皇制の神話・伝説を史実として扱うという政治的な決定したという。
安定的な皇位継承問題も、与党の支持勢力の「伝説や神話」にのっとった信仰みたいなものに押されて、決まっていくということでしょうか。
編集部より:このブログは「新聞記者OBが書くニュース物語 中村仁のブログ」2024年3月24日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、中村氏のブログをご覧ください。
提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
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