もう一点、申し上げると官僚機構と政治の密着度であります。日本の省庁は前例主義であり、新しいチャレンジはしません。閣僚会議で指示が出ればやりますが、いかんせん、新しいことが苦手なので何をやらせても「へたくそ!」の一言です。コロナ対策で各省庁が右往左往したことは記憶に新しいところです。これをお読みの皆さんが大っ嫌いな河野太郎氏は省庁の姿勢に風穴を開けようとした点では評価すべきでした。ですが、自民党の原理的右派の人は「あいつは親中派だ」であとはどれだけ功績があろうが、努力しようがゼロ点なんです。それ以上に官僚からは氏はもっと嫌がられるのでしょう。何故ならやったことないことをやらせるんですから。
「国民はそれでも自民党がお好きなのか」という題目に対してズバリ答えは「大好きです。だって変なことされるよりいいじゃないの」なのです。「河野太郎さんとか、いろいろやっているけれど何をやらかすかわからないでしょ?それなら王道の既定路線から一歩もはみ出さない人の方が良いのよ」になるのです。なので最近は無名の大臣ばかりで閣僚の名前がほとんど分からなくなっていますが、「目立たないことはいいことだ!」なのです。
2月5日の日経の「核心」に「自民党に明日はない」という記事があります。これ、なかなかの力作です。私が興味深く読ませて頂いたのは1976年ロッキード事件を契機に「河野氏ら党内の中堅・若手の6人が自民党を飛び出し、新自由クラブを旗揚げした。自民党は選挙に敗北、新自クはブームをおこし17人が当選した」というくだり。そして自民は派閥解消するかに見えたが、それは福田派だけであとは政策集団、政策研究会で復活、更に1986年、新自由クラブは解散し、自民党に合流したとあります。
記事は更にリクルート事件、東京佐川急便事件と続き、いったんは自民党の分裂につながったとあります。この編集員記事はそれでも当時は若手議員が党を割る力を見せたが、今回はそれすらないとし、今の議員を「羊の群れ」と評しています。そして「ほとぼりが冷めると派閥は復活するにちがいない」と結んでいるのです。
もしも私がかすかな期待を寄せるのであれば過去3度の自民党大事件から時代が変わり、党のグリップがかつてほどではない点であります。つまり「羊の群れ」ならば「どんぐりの背比べ」とも表せるわけで、羊飼い不在になりつつある現状がより混とんとさせるのであります。二階氏の実権は何らかの形で終わるでしょう。麻生氏がそれに代わってその座に就くはずですが、私が知る麻生氏はそんなわからずやではないと理解しています。
いっそのこと、自民党という名前を変えるだけでも情勢変化のきっかけにはなるでしょう。
日本に変化を求めていないもう一つのキーはアメリカだろうとみています。アメリカだけは戦後、一貫して日本に完全なる自由度を与えない「神の見えざるチカラ化」となっている点は良い意味でも悪い意味でも全ての日本人が理解をしておくべき点でありましょう。
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2024年2月7日の記事より転載させていただきました。
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