古いものは、ディスラプトされて新しい流れから切り離された後、直ちに価値を失って消滅するわけではなく、収益を生みながら、長い時間をかけて衰退に向かうだけのことであって、ディスラプトによって古いものが破壊されると考えることは誤りである。しかし、誤解が生じるのにも無理はなく、真に新しいものを創造する企業は世の注目を集めても、そこに古いものはなく、古いものは場所を変えて存続していても、そこには誰も着目しないので、破壊されて消え去ったかのように見えるのである。
ディスラプトが非連続だとして、何が非連続かといえば、事業構造が非連続である以前に、事業主体が非連続でなければならない。これは、事業主体の連続性からはディスラプトによる真の創造は生じ得ない、即ち、古い事業を継続しながら、それを自ら否定し、それを超克して、新しい事業を創造することはできないという自明のことである。
つまり、連続的な進化においては、経験の積み重ねが小さな創造の継起を生むのだから、事業主体の連続性は不可欠であるのに対して、非連続な大きな創造のためには、事業主体の非連続性が不可欠なのであって、新しいものは新しい事業主体によって担われるほかないのである。
■
森本 紀行 HCアセットマネジメント株式会社 代表取締役社長 HC公式ウェブサイト:fromHC twitter:nmorimoto_HC facebook:森本 紀行
提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
【関連記事】
・「お金くばりおじさん」を批判する「何もしないおじさん」
・大人の発達障害検査をしに行った時の話
・反原発国はオーストリアに続け?
・SNSが「凶器」となった歴史:『炎上するバカさせるバカ』
・強迫的に縁起をかついではいませんか?