産業構造は一日にして変わるものではなく、仮に規制等の強制力をもって変革がなされる場合にも、一定の移行期間が設けられる。故に、古いものは直ちに消滅するのではなく、長い時間をかけて衰退に向かうわけだが、その間にも収益を生み続け、その収益が新しいものに投資されることによって、新しいものが成長していくのである。

最近では、ディスラプトという言葉が使われるようになり、一般には、創造的破壊、即ち、新しいものの創造は古いものの破壊を伴うという意味に解されているようだが、古いものが破壊されてしまったのでは大きな損失なのだから、破壊ではなく、不連続、あるいは非連続、即ち、古いものと新しいものの間に断絶を設けることと解されるべきである。

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つまり、ディスラプトとは、自然な流れにそった連続的推移を乱すこと、あるいは中断することであって、創造の性質について適用すれば、古いものが技術的条件等の環境の変化に合わせて自然に連続的に進化発展していくことではなく、その自然な流れが中絶されたところに全く新しく非連続な展開が始まることを意味する。