立憲は私には全く肌に合わないのですが、枝野氏については政権を取っていたころから実に興味深い情熱の塊のような政治家だと評価していました。彼は立っている土俵が悪いので未だに主流になれないのですが、一政治家として、あるいは政治哲学という点では一定の評価をしています。この枝野氏が国会を含め、最近、元気だよな、と感じるのは風向きが変わってきたということが明らかなのでしょう。

日本の風向きが変わったのはなぜか、というよりなぜ、今なのか、と考えた方が早そうです。私はズバリコロナの3年が日本の様々な枝野氏風に言う「矛盾」が枠に収まらなくなったのだと考えています。人類未経験と言ってもよいほどの大混乱だった3年間を経て社会が「居住まいを正している」ということなのでしょう。

今年起きた様々な問題発覚はコロナ前ならまだ見つからなかった事案もあったかもしれません。が、トリガー(引き金)を誰かが引いたわけです。今思い起こすとお分かりになると思いますが、ジャニーズ問題のBBC放送や岡本カウアンさんから宝塚問題の自殺した娘さんとその親など、全部引き金があったわけです。そして政治については山上容疑者の引き金があまりにも政治の歯車を狂わせたとも言えるでしょう。

それは時代の変化に対して敢えて逆らい、旧来のやり方を隠ぺいするという姿勢がもうできないということなのです。今年発覚した多くの問題は普通であれば「なんでこんなことが今までばれなかったのだろう」ということばかりです。つまり9割の人はおかしいと分かっているのに「変えられない弱さ」が矛盾の先送りをしていたということです。

私は東京地検頑張れ、とエールを送りましたが、この声は世論で思った以上に大きく育ってきています。異次元の緩和も安倍ー黒田ラインがあったからこその「変えられない弱さ」だったと思っています。私はずっとおかしいと言い続けていましたが、多くはそれを肯定する流れでした。

日本は一度逆流に舵を切ると極端な動きをします。その点で2024年も「粛清」が続き、「かつての常識は2024年の非常識」になるかわかりませんが、これが2023年だけの話で終わるというのはこれまた不自然なのだろうと思います。

そうやってきっかけがあって構造的変化が起きるならばそれはそれで結構なことだと私は肯定的に捉えています。

では今日はこのぐらいで。

編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2023年12月11日の記事より転載させていただきました。

提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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