中国武漢発の新型コロナウイルスの発生源問題では「自然発生説」中国武漢発の新型コロナウイルスの発生源問題では「自然発生説」(a natural zoonotic outbreak)と「武漢ウイルス研究所=WIV流出説」(a research-related incident)の2通りがある。前者を支持するウイルス学者が多いが、後者を主張する学者も少なくない。はっきりとしていることは、世界で数百万人の死者を出したCOVID-19パンデミックの発生源について依然、明確な結論がないことだ。同時に、世界はポスト・コロナに入り、コロナウイルスの発生問題は忘れられてきた、といった感じがする。ロシア軍のウクライナ侵略、イスラエル軍とパレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム過激テロ組織「ハマス」の戦闘などが勃発したこともあって、コロナウイルスの発生源に対するメディアの関心も少なくなってきた。
と考えていた時、AP通信がコロナウイルスの最初の配列(シーケンス)を発表した中国人学者、張永振(Yong-Zhen Zhang)氏が自身の上海の研究室への立ち入りを拒否されたために、抗議の座り込みを開始したというニュースを報じていた。同氏は怒りをソーシャルネットワーク上で投稿したが、当局から即削除された。同氏の研究室立入禁止と同氏の抗議の座り込み事件は大きな反響を呼んでいるというのだ。
張氏は2020年1月初めにウイルス配列を公開し、それ以来当局から圧力を受けている学者だ。張氏が研究室に入ろうとしたとき、警備員に阻止された。同氏は中国のソーシャルメディアプラットフォーム「微博」への投稿で「私はここを離れない、諦めない、科学と真実を追求する」と書いたが、後に削除されている。
その後、張氏の診療所である上海公衆衛生臨床センターは、安全上の理由から張氏の研究室が改修中で閉鎖されたと発表した。ただし、張氏と彼のチームは別の研究室を利用できるようになったが、新しい研究室は彼の研究のための安全基準を満たしていないというのだ。