そもそも、外交官時代から、雅子さまは、じっくり練り上げていくほうを得意にされていた。そういう美点が発揮できるのは、たとえば、ご自分だけでなく陛下の分も含めて、務やお言葉の内容を吟味されたり、皇室外交をはじめ公務についての企画立案をされたりするといったことである。そうすれば、過去の皇后陛下に比べても、類いまれな才能を生かせるのだと思う。
陛下は結婚相手について、無難な選択でなく、母親である美智子さまに遜色のない素晴らしいお妃を求められていた印象がある。
その結果として、エリート外交官の娘で、卓越した学歴の女性外交官である小和田雅子さんに白羽の矢が立ち、国民も素晴らしい選択だと絶賛したが、皇太子妃に求められるのは外交での活躍だけではない。
雅子さまご本人にとっては予想外なことも多かったかもしれないが、お妃となるさまざまな厳しさは、総理秘書官や外務事務次官まで務め頭脳明晰な父・小和田恆氏なら分かっていたはずだ。
私はやはり、それを雅子さまに説明し、覚悟をもっていただいて決断し、準備してもらうことを小和田氏がしていなかったように見えることには批判的である。
小和田夫妻とは、複数回、シンポジウムに一緒に参加し、比較的少人数で何日間か行動をともにしたことがあって、その用意周到な仕事ぶりに直接、接したのであるが、その経験からいえば、小和田氏なら満を持して不都合が起きないようにできるはずだったはずなのにという気はする。
当時、雅子さまの同僚の外交官らの中には、饒舌で積極的なやり手である父親と違って、雅子さまは自己主張を内に秘めるシャイなタイプであり、世間で持たれているタフで社交的な女性というイメージとずれがあって、苦労されるのでないかと心配する人が多かった。
そうしたギャップも一因となって、思い描いておられたイメージと違う状況が生じ、いろんな問題が生じたのだが、いままた、見当外れの期待とそれが実現できないがゆえの焦燥が悪い循環をしなければいいのにと思う。
提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
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