「あれは息子が小学1年生になった年だった。花火を見たいという息子を連れ、会場に向かった。会場となる駅で降りると、想像した以上の人混み。ゾロゾロとした行列で少しずつしか前に進まず、なかなか会場まで辿り着けない。 もうすぐ花火が上がる時間だ。焦ってスマートフォンで時刻を確認する。ドッカーン! パラパラパラパラ・・・略」(同)

こころの言葉を紡ぐ

世の中には多くの文章術本が存在する。「言葉の紡ぎ方」に焦点を当て、内面を深く洞察する視点は興味深く、ほかにない視点なので評価できる。自分のルーツを探り、子供ころから、どのように考えて育ってきたかを考える自己分析も興味深い。しかし、やりすぎると何のアウトプットでもできないことがあるので程度の問題ではないかと思う。

自己分析とは、過去の経験や出来事から価値観などを整理し、志向タイプをはっきりさせることである。初めての人には新鮮に映るが、「自己分析で見つけた強み」という思い込みは誇大妄想になりかねない。誰もが実績として認めて数値化できるようなものでない限り、他者と一線を画するほどのオリジナリティーにあふれていることはない。

「言葉を紡ぐことは思考を紡ぎ、行動を紡ぎ、習慣を紡ぎ、人格を紡ぎ、運命を紡ぐ」と著者は言う。著者の経験や古今東西の名コピーとともに解説する31の理論を読めば、運命を切り開くあなただけの言葉が見つかるかも知れない。

尾藤 克之(コラムニスト・著述家)

2年振りに22冊目の本を出版しました。

「読書を自分の武器にする技術」(WAVE出版)