世界に14億人以上の信者を抱える最大のキリスト教派、ローマ・カトリック教会の総本山バチカン教皇庁のヴィクトル・マヌエル・フェルナンデス教理省長官は2023年12月18日、「同性カップルもカトリック教会で祝福を受けることができる」と表明した。フェルナンデス枢機卿が署名し、教皇フランシスコが承認した政策表明文では、「不規則な状況にあるカップルや同性カップルを祝福する可能性について」と問題点を明確にしたうえで、「同性カップルも教会内で今後祝福を受けることができる」と強調し、「結婚の秘跡に内在する祝福との混同を避けるため、教会での儀式的枠組みの祝福とは区別しなければならない」と説明し、「教会の公式の婚姻サクラメントとは違う」とわざわざ述べている。

教理省は2021年2月、「神の計画に従って明らかにされたものとしては客観的に認識されない」として、「同性パートナーシップの祝福は許可されていない」と宣言してきた。それを23年12月、「聖職者は祝福を願う同性カップルに対し、教会の公的な儀式外ならば祝福を認める」と述べたわけだ。

そして今回、ローマ教皇のお膝元のイタリア教会司教会議が神父になろうとする聖職者に対しても同性愛者を聖職から排除しないという新しい指針をまとめたわけだ。ただし、正式に決定するまでに3年間という期間を置いている。ローマ・カトリック教会ではこれまで性モラルについて公に協議することは少なかったが、聖職者の未成年者への性的虐待問題が至る所で発覚し、大きな社会問題まで発展してきたことを受け、聖職者になろうとする神学生時代から「教会と性問題」について理解を深める必要性が出てきたからだ。

ちなみに、バチカンには同性愛クラブが存在すると久しく囁かれてきたが、それを裏付ける出来事が起きたことがある。バチカンの教理省高官(当時43)が2015年10月、記者会見で自分が同性愛者だと告白したのだ。ローマ教皇フランシスコ自身が2013年6月6日、南米・カリブ海諸国修道院団体(CLAR)関係者との会談の中で、「バチカンには聖なる者もいるが、腐敗した人間もいる。同性愛ロビイストたちだ」と述べている。