森や草原を歩いていると、キノコが綺麗な円状に並んだ光景を目にしたことはないでしょうか?
これは「菌輪(きんりん)」という不思議な現象であり、海外では「妖精の輪(fairy ring、fairy circle)」と呼ばれています。
それは民間伝承において、小さな妖精たちが輪になって踊り、草を踏み均(なら)した痕跡上にキノコが生え出たものと伝えられるからです。
民間伝承における菌輪は様々な捉えられ方がされていますが、科学的に見ると、菌輪はどのように生じるものなのでしょうか?
そのプロセスの秘密を紐解いてみましょう。
目次
- キノコの輪っかは妖精たちが踊った跡?
- 菌輪はどうやって作られるのか?
キノコの輪っかは妖精たちが踊った跡?
菌輪はキノコが環状に、あるいはその断片としての弧状に発生する現象であり、主に森林や草原、芝生や牧草地で見られます。
その多くは直径数十センチから数メートルのものが多いですが、菌輪を構成する菌類が生育し続ける限りは安定的に大きくなり、中には直径10メートル以上になるものもあります。
特に巨大なものですと、直径600メートル、菌輪の年齢が700歳にも達したケースがフランスで報告されています。
菌輪は草地の多い欧米諸国では決して珍しいものではなく、古くからその存在が知られてきました。
しかしその発生原理まではわからなかったため、国や地域ごとにユニークな解釈がなされています。
例えばイギリスの民話によると、菌輪はエルフやフェアリー、ピクシーといった妖精たちが輪になって踊り、草を踏み均した痕跡上にキノコが生え出たものだと伝えられています。
この捉え方は他の多くの地域でもメジャーなものであるため、菌輪は主に「妖精の輪(fairy ring、fairy circle)」と呼ばれるようになったのです。