「この分野の標準的な資料によれば、簡潔に記されている。Kikel,Kikelj,Kiklはスロベニア語のkikel,kikla(婦人用スカート、シャツ)に由来する。また、スロベニア語の語源辞典によれば、kiklaは婦人用スカート、18世紀にはkikla,kiklezaは女性用スカートとなっている」という。同教授は「この名前の最初の使用者は服装に基づき、スロベニア語の言葉で名付けられた。キックル党首の名前は間違いなくスロベニア起源だ」という。

ちなみに、ユルゲン・ウドルフ(81歳)氏はライプツィヒの「名前研究センター」の創設者だ。彼はゲッティンゲン大学でスラブ語学とフィン・ウゴル語学を専攻した後、ライプツィヒ大学で名前学の教授を務めた。65歳の時に大学を退職した。著書には2007年の「名前の本─その起源と意味』などがある。

ここで断っておくが、当方は「キックル党首の名前がオーストリアから由来していないこと、その語源はスロベニアで女性のスカートを意味していたこと」を書くことで、キックル党首を侮辱したり、中傷する意図はない。OE24関係者もそうだろう。

ただ、外国人排斥、移民・難民に対して批判的な自由党の党首自身がその家系を辿っていくと、オーストリアの隣国スロベニア出身であり、その名前はそれを証明しているということだ。自由党に批判的な人ならば、「それみろ、キックル党首よ、あなたの祖先も移民出身者だった」ということになるが、欧州では移民出身者ではない政治家、人間のほうが少ないのではないか。

話はすこし飛ぶが、俳優で日本でも人気のあるアーノルド・シュワルツェネッガー氏がカルフォルニア州知事だった時、米大統領に立候補することを考えたが、米国籍を有していても米国内で出生していないため立候補する資格がなかったという話を聞いた。何もキックル党首のことを意識して言っているのではない。移民出身者は政治家になれないとすれば、多くの優秀な人が政治家の道を失うことになる。