アフリカ大陸北部のサハラ砂漠に、盲目の部族が住んでいる村があります。
その村では、生まれつき失明状態(先天盲)にある子供が多く、彼らは砂漠の厳しい環境で盲目のまま生活を送っているという。
生まれる人間の多くが盲目になってしまうなんて、そんな不思議なことが本当にありうるのでしょうか?
このような問題は現代の医療で救うことはできないのでしょうか。
今回はアメリカのハワイ大学マノア校(UH Mānoa)に所属する人類学者サキブ・A・ウスマン氏の2024年の論文を元に、この盲目の部族について解説していきます。
目次
- サハラ砂漠に住む「盲目の部族」とその原因
- 盲目を「神からの贈り物」と考える
サハラ砂漠に住む「盲目の部族」とその原因
世界最大級の砂漠「サハラ砂漠」は、アフリカ大陸の3分の1近くを占めており、アメリカ合衆国とほぼ同じ面積があるほど広大です。
サハラ砂漠全体の人口は約2500万人であり、そのほとんどは、モーリタニア、モロッコ、アルジェリアに住んでいます。
このアフリカ北西部に位置するモーリタニア(正式には、モーリタニア・イスラム共和国)には、首都ヌアクショットから東に約1000km離れた辺境の村「ダリ・ギンバ(Dali Gimba, ダリグンベとも呼ばれる)」があります。
この村は、村人の半数が盲目である「盲人の村」として知られています。
例えば村長の家系は、7~8世代にわたって遺伝性の失明が続いています。
それでも彼らは、厳しい砂漠環境で、村の中での生活をすべてひとりで行えます。
盲目であることを受け入れ、たくましく生きているのです。