権力の肥大化は、各国共通でしょう。国民各層の分断に目をつけ、ネットを動員する情報戦略、国家予算の持続性を無視した歳出膨張、軍事力も握った権力者にすり寄る猟官、企業経営者などが独裁者のような政治的リーダーを生みだす。民主主義国は世界の半数以下になり、専制主義、独裁主義の国家は過半を占め、歴史的に言えば、「無謀な君主」の時代を迎えていると思います。

政治の課題は山ほどあり、石破首相の所信表明演説のように、新聞1㌻を埋めつくすほどです。政治、経済、社会、環境、格差是正、デフレ対策、少子化対策など、課題は「森羅万象」に及ぶことは確かです。「森羅万象に及ぶ」ことと「森羅万象を司る」ことはまるで違う。司ろうとするから、できもしないことを政策綱領に羅列し、支持率を確保しようとする。「できる課題」と「できない課題」があることを野党もメディアも知るべきです。

「英明な宰相」なら、「国にはできることとできないことがある」というべきです。「森羅万象を司る」といいうから、国民も期待を持ってしまう。期待を持つ方の国民ももっと成熟しなければならない。政府は必要最小限のことしかできないし、やらない。「森羅万象」というから、国民、企業が群がってくるのです。

日本の安倍政権は憲政史上最長となり、親安倍の政治家、識者らが神格化するような振る舞いをしています。安倍氏が親交を結んだのは、トランプ氏、プーチン氏でした。安倍氏には2人の独裁的政治手法に魅せられているところがあったのでしょう。野心を持った結果です。結果は裏目にでました。

異次元金融緩和・財政膨張政策も金融史に残るであろう暴走で、その結果である円安によって、日本の経済的地位(GDP)は下落しました。空白の30年を脱出するための異次元緩和政策も裏目に出ました。経済的に考えても達成できそうにないことやろうとした結果です。

石破首相に対する評価を社説でみると、「就任から3が月たった首相がいまだに日本の進むべき針路示せないでいるのは嘆かわしい。国の舵取りを担うリーダーとしての資質を疑われる」(読売6日)、「低姿勢を貫いて延命を図るようだが、この政権は何を目指し、どんな政策を実行しているのか、判然としない」(同7日)と、なんども酷評を繰り返しています。

石破首相と習近平国家主席 首相官邸インスタグラムより