大麻の一部合法化の目的について、ラウターバッハ保健相は、「大麻の消費をより安全にすることだ。明確な制限内で成人への大麻の管理された消費だ。私たちは闇市場と闘ってきた。これまでの大麻規制は失敗した。全国的に記録された薬物犯罪件数は年々、増加してきた。刑法の強化では解決できない。だから、大麻の部分的合法化を通じて麻薬関連の犯罪を撲滅していきたい」と語ったが、果たしてそのような展開になるだろうか。大麻の合法化が麻薬犯罪を増加させ、ヘロインなどのハードな麻薬摂取の道を開くことになるのではないか。
大麻の有効成分はテトラヒドロカンナビノール(THC)だ。ウィーンに本部を置く国際薬物犯罪事務局(UNODC)は、「麻薬でハードとソフトに区別はない。ソフトの大麻を常習すれば、健康に悪影響が出てくる。特に、成長段階の若い世代にとっては危険だ」と警告を発している。実際、ドイツの大麻合法化に反対する欧州連合(EU)から「ドイツの法案は国際麻薬条約に反する内容がある」として改正を要求してきた経緯がある。
それでは、「大麻の合法化にタイミングのいい時期などあるのか」と問われれば返答に困るが、現在のドイツ社会で大麻を合法化すれば、国民にいい影響は与えず、社会の雰囲気を一層憂鬱にさせるだけだ。
大麻の合法化に反対する野党の「キリスト教民主・社会同盟」(CDU/CSU)は、大麻消費の危険性が軽視され、消費が増加し、健康に有害な結果をもたらし、大麻への依存度が高まることを恐れている。バイエルン州議会のCSU会派リーダー、クラウス・ホレチェック氏は編集ネットワーク・ドイツ(RND)に対し、「ドイツが欧州の大麻国家にならないよう、さらなる管理が必要だ」と語り、廃水の監視を提案している。同氏は「大麻の栽培と消費の許可は間違っており、危険だ。初期の感情疾患や精神病が増加するだろう。脳は25歳までに成熟し、大麻を摂取した人は永久的な損傷を受ける危険がある」と強調している。
編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2024年3月12日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。
提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
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