近年になるほど差が開いているのが特徴的です。

4. 情報通信業の平均時給の比較

最後に情報通信業の労働時間あたり雇用者報酬の国際比較をしてみましょう。

図4 労働時間あたり雇用者報酬 情報通信業 購買力平価換算 2021年OECD統計データより

図4が情報通信業の労働時間あたり雇用者報酬について、2021年の購買力平価換算値の比較です。

日本は38.0ドルで、OECD30か国中22位、G7中最下位でOECDの平均値48.8ドルを大幅に下回ります。

全産業平均値が19位だったのに対して、順位を落としています。エリート産業程、国際的な順位が低いという典型例に見えますね。

労働時間あたり雇用者報酬 情報通信業 購買力平価換算 2021年 単位:ドル 2021年 30か国中 1位 83.3 アメリカ 2位 73.7 フランス 3位 73.0 ドイツ 12位 54.8 イギリス 16位 48.3 イタリア 22位 38.0 日本 平均 48.8

アメリカ、フランス、ドイツがトップ3を独占しているのが印象的ですね。

特にアメリカは83.3ドルと、1時間80ドルを超え、日本の2倍以上の水準です。

各国とも情報通信業は、全産業平均値を大幅に上回る傾向も確認できます。

日本は良くも悪くも産業間の給与格差が小さいという特徴もありそうです。

5. 情報通信業の平均時給の特徴

今回は、情報通信業の労働時間あたり雇用者報酬についてご紹介しました。

情報通信業は金融保険業と並んで、生産性や給与水準の高いエリート産業ですね。

確かに国内の産業別で比較するとその傾向は確認できますが、国際比較してみるとそれでもかなり低い水準であることがわかります。

図5 産業別 労働者数シェア 2019年OECD統計データより

情報通信業は、労働者数の少ない産業です。

2019年の労働者数シェアを見比べてみると、概ね3~4%程度です。

生産性や給与水準が高く、労働者数の少ないエリート産業と言った位置づけと言えそうですね。

日本はそのような産業でさえ、国際比較してみるとかなり低い水準というのは意外でした。

皆さんはどのように考えますか?

編集部より:この記事は株式会社小川製作所 小川製作所ブログ 2023年12月22日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は「小川製作所ブログ:日本の経済統計と転換点」をご覧ください。

提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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