そのせいか、サメの性生活はいまだに多くが謎に包まれたままなのです。
一方、デラウェア大学の海洋生物学者ジェニファー・ワイフェルス(Jennifer Wyffels)氏は、カナダ海洋科学センターのリプリー水族館でシロワニの交尾行動を観察し、オスがメスに激しく噛みついて重傷を負わせる事例を目撃しました。
シロワニ(学名:Carcharias taurus)はネズミザメ目の一種であり、世界中の暖かい海に生息し、最大全長3.2メートルにまで成長します。
そこでワイフェルス氏ら研究チームは、米国東岸ノースカロライナ沖に分布するシロワニを対象に性生活の実態を調査することにしました。
その結果、過激すぎるシロワニの交尾の実態が明らかになったのです。
咬み傷から性行為が盛んになるシーズンを特定!
本調査では、2005年から2020年にかけてノースカロライナ沖で撮影された686頭のシロワニの画像、計2876枚を分析しました。
これらの画像は研究者だけでなく、ダイバーやアマチュアの写真家によって撮影された膨大なサメ画像を保存するデータベース「Spot A Shark USA」から入手しています。
チームはこの画像を用いて、シロワニの部位ごとの咬み傷の発生率や重症度、原因などを分析。
その結果、交尾行動による噛みつきが野生下でも頻繁に起こっていることが確認できました。
しかも噛み付くのは常にオスだけでなく、メスの方も頻繁に噛みつき返していたことがわかっています。
さらにその傷跡は甘噛みなんて生やさしいものではなく、完全に肉が抉(えぐ)り取られた重症のものが多く見られたのです。
ただチームはこれと別に、シロワニの咬み傷を調べることで交尾行動がいつ盛んになるかを特定できることを明らかにしました。