要は、ちゃんとした会社の正社員になりたかったら新卒のタイミングで内定を取るしかないということです。

それが出来なかったら中小企業の中でも万年人手不足の会社とか、正社員の弾除け用の有期雇用に行って糊口を凌ぐしかないということです。

「中小企業でも非正規でも職があるならいいだろう」という人もいるんでしょうが、その結果、わが日本国は世界的に見て「転職回数が多い人ほど年収が低くなる」という異様な社会となっています。

と書くと「日本は転職すると給料が下がるのか。何があってもしがみつくのが正解だ」と勘違いする人もいそうですが、これは新卒段階で終身雇用を前提とした会社に入れるか、そうでない会社、働き方に進むかの差ですね。

要は、新卒時にコケた影響はその後ずっと尾を引くことになるということです。

企業がそういう線引きをする理由ですが、単純に年功序列だからです。年功序列のモノサシだと、人は新卒で正社員になり、年齢とともに正社員の職歴を積んでいるべきなんですね。

それが出来ていない人間に、年功賃金は払えませんから。

本レポートでは男女間の賃金格差についても一章を使って取り上げています。

日本の男女間の賃金格差が大きいという話は割と有名ですね。でもそれは就いている仕事や業種が違うからだ、といった反論もあります。

本レポートでは業種や学歴などの諸条件をそろえると他国の場合は男女間の格差が縮小する一方、日本にはなお厳然とした格差が残ることが示されています。

これもやはり年功序列のモノサシが理由ですね。男性と同じ勤続年数であっても、ライフタイムイベントの多い女性の場合は同じ職歴が積めていない可能性があり、その差が昇給や昇進に長く影響するためです。

氷河期世代の中には「自分たちだけに苦労させやがって」と憤っている人は少なくないでしょう。また女性の中にも「日本企業は男が支配している」と怒っている人もいるはず。