立体駐車場で待たされ、長いエントランスを抜けて入口にはコンシェルジュ。エレベーターまで2つのセキュリティを抜け、エレベーターを待ち、降りたらドアのロックを外す。

これをスーパーに買物に出かけるたびにやると考えると、タワマンの他にあるメリットが全て吹き飛んでしまうと感じた。さらにスーパーで買い物をしたり、図書館で子供たちの本を借りて帰る時は両手にたくさんの荷物を抱えることになる。内覧した物件にはスーパーでよく見るカートが使えるようになっており、荷物の持ち運ぶ負担は減るがそれでも待ち時間は減らせない。

タワマンは実質的なドア・トゥ・ドアに想像以上に待ち時間を要する。これは今回、体験してはじめて実感できたことだ。

タワマン内覧後、最後に一戸建てを内覧したが「やっぱりこれこれ!」と胸がときめいてしまった。セキュリティはタワマンほどではないものの、自宅駐車場に車を停めてドアを開けたら即玄関、この抜群のアクセスは一戸建てでなければ決して手に入らない。

自分には通勤がないとはいえ、一日一回は買い物で外に出かける。毎回外に出るのに長時間の待ちが発生するのは、一戸建て生活に慣れてしまった者には看過できない問題なのだ。

コスパだけで判断できない

内覧をするにあたり「このエリアは人口流入も著しく、タワマンの価格もドンドン上がっています。うまくいけば売却時に利益が出ますのでコスパ抜群ですよ!」とアドバイスを受けた。

実際、内覧物件の最上階のペントハウスは2億円以上(四捨五入すると3億円)でお手頃価格とは言えないが、新築時はこれより遥かに安かったというので近年の価格高騰には驚かされる。

目一杯住宅ローンを使って手元のキャッシュを減らさないようにすれば、営業マンの言う通りすごくオトクな買い物になる可能性もある。実際、住民は全員が大幅な含み益が出ている状態だろう。

内覧前は「コスパがいいならタワマンもいいな」と思っていた。しかし、タワマンと相性が悪い自分がコスパのために我慢して相性の悪い物件に住むという、コスパの代わりに現在のQOLを下げる行為は、「本当に人生トータルでのコスパがいいのか?」と疑問を感じた。