一方、投資家の立場からするとかつてのマザーズなど成長企業=新興企業に上場する株価には翻弄された方が多数いらっしゃったと思います。いや、今でもそれは変わりません。浮動株が少ない中、企業がIRを通じて何か発表するとそれに激しく反応し、ストップ高ストップ安を繰り返します。チャートで見ると個人投資家に人気ある銘柄はあり得ないほどまで買いあがり、そのあと底が抜けたような下落をするのです。株価がテンバガーと称する10倍をつけたと思ったら1/20に下がるという極端なケースすら生じたのです。
このブログで何度かにわたり、東証はアメリカ市場に比べて上場企業が多すぎるということを書かせていただきました。2024年、東証の上場企業数がついに減少に転じました。この上場企業総数の減少は倒産したというよりM&Aやファンドによる非上場化が主因。またIPOを目指す企業も80社程度と近年では低い水準にとどまったことが要因です。新規上場社数はこの10年、概ね毎年90社程度が上場しています。今年の80社がトレンドとして減ってきたのかどうかはまだ判断はできません。
一方、東証は上場維持のハードルを上げていますので今後3-5年で非上場化にならざるを得ない企業が増えてくるとみています。東証の上場企業数は3835社(東京プロマーケットを除く)となっています。個人的には2030年までに3500社を切ってほしいと考えています。要は上場なんて必要ない企業にはどんどん退出してもらい、上場会社の質の向上を目指してもらいたいと思うのです。
IPOのハードルも今の数倍から10倍ぐらい引き上げるべきです。その代わり東京プロマーケットを最大限活用する、という二段構えの構図を作るべきです。東京プロマーケットはその名の通り上場なのですが、プロの投資家向けの市場で上場予備軍的な立ち位置です。そこから飛躍できた企業は一般市場に鞍替えしています。現在、128社が上場しています。私としては安易なIPOマネーに小躍りする安っぽい経営者を排除し、しっかりした起業家精神とたゆまぬ改善努力をする会社だけが上場という看板を持てるようにすべきだと思うのです。