中国におけるHMPV流行:懸念される感染拡大の実態

 HMPVはありふれたウイルスであるにもかかわらず、なぜ今、ニュースで話題になっているのだろうか。

 ニューズウィークによると、中国疾病予防管理センターは、中国でインフルエンザに似た複数の病気の感染者が増加しており、特にHMPVの増加が目立つと報告している。流行の規模に関する統計はまだ不明だが、入手できたデータによると、HMPVは中国の子供たちの間で2番目に多い呼吸器感染症の原因となっているという。インフルエンザに次いで2番目だが、新型コロナウイルスやライノウイルス、アデノウイルスよりも上位である。

 オーストラリア国立大学の感染症専門医、サンジャヤ・セナナイェーク准教授は、「中国では現在、HMPVの大規模な流行が発生している。これは中国の医療システムにとって優先事項だが、新たな世界的流行発生の切迫した懸念材料ではない」と声明で述べた。

「多くの呼吸器系ウイルスと同様に、感染のピークは季節によって異なるものの、一般的には晩冬から早春にかけて流行する。中国では深刻なHMPV流行の時期を迎えていると考えられ、ウイルスと人々の行動の複合的な要因が重なっている可能性があるものの、いずれは落ち着くだろう」と説明している。

 中国におけるHMPV感染者数は多いものの、例年この時期にピークを迎える。症例数の増加は、疾病監視体制の向上も一因と考えられる。中国は新型コロナウイルス感染症の発生をきっかけに、呼吸器系疾患の監視を強化しており、以前は見過ごされていた症例が発見されている可能性がある。

中国で流行中の「HMPV」とは?懸念される感染拡大の実態
(画像=Image by fernando zhiminaicela from Pixabay,『TOCANA』より 引用)