その間、連携関係にあった新自由党からは連携関係解消、更に内閣不信任案提出の準備となりトルドー氏は完全に行き場を失ったのであります。これが今回の自由党党首辞任の顛末です。
さて、トルドー氏はカナダ国会を3月下旬まで開催しないことでカナダ総督の了解を取り付け、いよいよ自由党の首相選びが本格化するところです。ただし、現在の議会の期間満了が10月20日なのでそれまでに総選挙が行われる予定です。世論調査では中道右派の保守党が圧倒的な支持を得ているので現状、自由党が盛り返すことはなく、政権交代となるでしょう。よって新首相が選ばれても半年強の任期に留まる公算は高いと思います。
カナダは今年G7の議長国で6月頃にサミットも開催されます。あくまでも短期ランナーならば名前が挙がっている中では個人的にはマーク カーニー氏がベストだと思います。氏はカナダ中銀総裁の時、非常に優れた判断を下し、その後、乞われて史上初の外国人による英国中銀総裁誕生となります。現在、民間企業の会長やブルームバーグの取締役会議長も務めていますが、論理的思考でトランプ氏の陽動作戦に踊らされず、政権中枢からも一歩距離があるので良いかと思います。フリーランド氏が下馬評では人気が高く、実際に選ばれる確率は高いですが、トランプ氏との短期的対峙を考えた時、フリーランド氏はトランプ氏ともめるような気がするし、トランプ氏はカーニー氏のようなタイプが苦手な気がします。
個人的にはトルドー氏がようやく首相を降りてくれたか、とほっとしています。カナダの政策は過去9年、あまりにも緩和的、かつ試行錯誤的というか、十分な思慮なく縦割り型の判断が続いたと思います。移民が多い国故に中道左派は支持されやすいですが、現在の世界の趨勢をみても保守化がキーワードだと思います。カナダもようやく他の先進国と同様、政治のシャッフルが行われるということでしょう。
では今日はこのぐらいで。