中間管理職や無駄なポストを増やさなければならない
一方で、特に大企業では延々と社内調整だけに明け暮れる社員が生まれることも労働生産性の低さにつながっているという見方もあるが、実際にはどうなのか。
「成果や役割、仕事の内容によって賃金が決まる職務給や役割給とは異なり、日本企業では個人の能力に紐づいて賃金が支給される職能給制度が主流であるため、企業の成長自体が止まってもなお、人の能力は上がり続ける前提で賃金を上げ続けなければなりません。同時に、その高い賃金を支払うために中間管理職や無駄なポストを増やさなければならないという弊害が生まれます。その結果、無駄に長い承認プロセスが必要となり生産性向上や迅速な意思決定の障害になりがちな面も、社員が社内調整に労力と時間を取られる要因になってきます」(安藤氏)
また、自動車メーカー関係者はいう。
「日本は製造業に強みを持ち、製品の企画から開発・生産・販売・アフターフォローというサイクルを回すためには社内調整というのが非常に重要であり、そこに大きな価値が置かれやすいという面はあるかもしれません。たとえばトヨタ自動車の強さの源泉は、多くの従業員が関与する製造現場でいかに無駄をなくして効率を高めてコストダウンを実現し、利益を高めるのかという『カイゼン』にあり、そのために社内調整に注力するのは正義ということになります。なので一言に社内調整=悪ではなく、社内調整がより効率的に遂行される仕組みが必要なのではないでしょうか」
(文=Business Journal編集部、協力=安藤健/人材研究所ディレクター)
提供元・Business Journal
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