進学や就職で成功したり、難関資格合格を果たした人は、そこからは別の地獄が待っている。

そして起業して仕事がうまくいって安定して勝ち続けると今度は、「独立直後のうまくいかない中、苦心惨憺して毎日難題を突破して成長し続けるあの日々が懐かしい。もっと強い刺激がほしい」と言い始める。

結局、人生は一生苦悩し続けるのが「普通」である。大事なのは地獄を避けようとするのではなく、地獄そのものから楽しみを引き出す力を持つことだと筆者は考える。

独立活動中、週末起業家として平日はサラリーマン、土日に起業活動をしていたが、何年もほぼまったく稼げない日々が続いた。おそらく、普通の人が同じことを味わうと強い苦しみに感じるかもしれない。

だが不思議と、その過程は楽しかった。「時給を考えるととても割に合わない」「なぜこんなにいいビジネスが売れないのだ!」などと考えたことは一度もなかった。「よし、次はあれをやってみよう。これをやってみよう」と空想が広がって一つ一つ試していく工程そのものが楽しかったからだ。

独立後はサラリーマン時代になかった苦悩や悩みは多いが、一切の課題がない日々を想像すると「そうなれば今度は刺激が欲しくなるだろうから、今の状態は十分幸せなのだ」と思うようになった。

地獄の本質を理解することで、他人にも優しくなれる。筆者は嫉妬をすることがない。その最大の理由は「うまくいっているように見える人も裏では泣いている」と地獄の存在を考えるからである。

 

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