恐ろしくもあり魅力的でもあるエイリアン・アブダクション、すなわち宇宙人による誘拐事件は、実は政府の謀略であったのか――!?
■「エイリアン・アブダクション=洗脳実験」説
米ソ冷戦時代のアメリカでCIAと科学界が連携して極秘裏に実施された洗脳実験のコードネームが「MKウルトラ(MK-Ultra)」だ。
MKウルトラの多くは被験者には本当のことを知らせなかったり、あるいはまったくイノセントな一般人を実験と気づかせないまま巻き込んだりと、人道上の大きな問題をはらみつつ、1950年代初頭から少なくとも1960年代末まで行われていたとされる。
そして意外なことに、一部の専門家から「エイリアン・アブダクション事件は今も続けられているMKウルトラの派生物ではないか」との指摘があるのだ。
オルタナティブメディア「Mysterious Universe」の記事では、洗脳実験の可能性が高いアブダクション事件をいくつか紹介して検証している。まず最初は1997年7月に米アリゾナ州セドナ在住の女性、アリソンさんに起きた事件だ。
27歳から31歳までの間に、少なくとも5回のアブダクションに遭遇したアリソンさんだが、中でも最後に起きた1997年7月27日の事件は大いに疑問が残るという。その時も、これまでのパターンと同じようにハミングするような音を伴ってエイリアンが部屋に現れたのだが、少しするとハミング音が突然止まったのである。
これまでのアブダクションではハミング音がずっと鳴り響いており、たちまちアリソンさんは気が遠くなって意識を失っていたのだが、この時は音が止まったこともあってか、遠くなりかけていた意識がゆっくりと戻ってきたのだという。
そして、部屋にいたのはこれまでのようなグレイタイプのエイリアンではなく、軍服を着た男たちであることにアリソンさんは気づいた。失敗を理解したのか、男たちはその後すぐに部屋を出て行ったということだ。
49年前に起きた「パスカグーラ事件」もまた洗脳実験が疑われるケースであるという。
1973年10月11日、ミシシッピ州のパスカグーラ川で夜釣りをしていた近くの造船所に勤務するチャールズ・ヒクソン氏(当時42歳)とケルヴィン・パーカー氏(当時18歳)がUFOを目撃し、中から出てきたと思われるエイリアンに捕らえられてUFO内部に連れ込まれた。
その後、2人の全身は麻痺して共に気を失っていたのだが、気づけば川のほとりに倒れていたのだ。
1970年代初頭、この地域の住民の間では秘密工作や精神改変の実験が行われたという話がまことしやかに囁かれていたという。この2人は、MKウルトラからさらに洗練された精神改変プログラムの実験台になった可能性があるということだ。
1961年に起きた「ヒル夫妻誘拐事件」もまた実験の可能性が指摘されている一件だ。
1961年9月19日の夜、ベティ・ヒルとバーニー・ヒルの夫妻は休暇を終えてカナダから米ニューハンプシャー州へと車で帰る途中、夜空に明るい飛行物体を目撃し、気になって車を停めて外に出たところ意識と記憶が乱れた。その後、車で無事に帰宅したのだが、後にして思えばこの時にエイリアン・アブダクションの被害に遭っていたのではないかといわれている。ちなみに4時間ほどで帰れるはずのドライブが、この夜は7時間もかかっていたのだ。
この後、退行睡眠などによってヒル夫妻の“空白の時間”が探られたのだが、エイリアンに捕まってUFO内部に連れ込まれたのかどうか、決定的な結論は出ないまま夫妻は亡くなっている。
作家で調査ジャーナリストの故フィリップ・コッペンズ氏は、ヒル夫妻が米空軍の監視下にあったことは明らかであり、いくつもの証拠から、夫妻が心理実験の被験者、犠牲者だったことを示唆している。