■おならで使者を追っ払う
さらに時代を遡ると、古代エジプトでおならがファラオを王の座から引きずり下ろしたケースもある。
ギリシアの歴史家ヘロドトスは、紀元前569年にアマシスという名の将軍が扇動された軍隊の反乱を鎮圧するために派遣された一件を記述に残している。反逆者を鎮圧しに来たはずが、なぜか周囲の支持を受けたアマシスは、彼らの新しい王として持ち上げられてしまったのだ。
時のファラオであったアプリエスは、現地で起こった事態を詳しく調査するため、パタルベミスという名の使者を派遣する。アマシスに会い、裏切り者として連れて帰るように命じたのだ。
しかし、現地に赴いたパタルベミスがアマシスを叱責すると、アマシスはおもむろに立ち上がって尻を使者に向けて1発のおならを放った。そして「それ(おなら)をアプリエスへの土産に持ち帰れ」と捨て台詞まで吐いたのである。
任務を果たせずに帰還したパタルベミスが、この一件をアプリエスに報告したとき、王は激怒してパタルベミスの鼻と耳を切り落としたのだった。
この残忍な行為は王に対する軍と民衆の怒りを引き起こし、ますますアマシスへの支持が強まる。やがて自らファラオを名乗ったアマシスは、紀元前569〜525年まで公式にエジプトを統治することになった。アプリエスは国を追われて逃げたというが、最終的に暴徒に見つかって惨殺されたといわれている。
日常では何の価値も感じられないおならだが、次に出そうになった時、場合によっては歴史が変わってしまう可能性もあることを思い出してみると少しは意義が感じられるかもしれない。
提供元・TOCANA
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