地中をどんどん深く掘り進んでいくと、そこに何があるのだろうか。かつてのソ連で行われた掘削プロジェクトで、地の底から聞こえてきた「地獄の叫び声」が関係者の背筋を凍らせていたという。
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■地獄の存在を示唆する謎の叫び声
東西冷戦時代の1970年、ソ連は地球の地殻深部を調べるための超深度掘削プロジェクトを北西部ムルマンスク州コラ半島のペチェングスキー地区で行っている。その名も「コラ半島超深度掘削坑(Kola Superdeep Borehole)」だ。
5月24日に始まった同プロジェクトでは、直径23センチのボーリング坑が使われて順調に掘削が進み、1989年に1万2262メートルの深度に達して世界を驚かせた。これは現在でも破られていない掘削の最高深度である。
ソ連の担当者にとっては大成功と言える成果をあげたのだが、当初の計画ではそれをさらに超える1万5000メートルまで掘り進められる予定であったという。しかし、その後まもなく訪れるソ連崩壊により、残念ながらプロジェクトの継続は不透明なものとなった。
とはいえこのプロジェクトから得られた発見は多く、人類に新たな知見をもたらしたことは事実である。以下がそのほんの一部だ。
- 30億年前の岩石から発見された原始石化バクテリア。
- 研究のおかげで、地球の年齢がそれまでの定説よりも15億年古いことを立証することができた。
- 地球の内部の温度は不均一で、これまで考えられていたよりも高温である。
そればかりではない。ソ連崩壊がまさに進行中の1990年、現地に到着したフィンランドのジャーナリストらが、1万2000メートルの超深度から聞こえる“地獄の叫び声”について報告したのである。
耐熱性マイクを最深部まで降ろしたところ、まるで殉教者の魂が助けを求めているかのように、背筋も凍る叫び声が聞こえてきたというのである。