紀元前46年、歴史上最も長い一年が存在した―――。
それは古代ローマの政治家であり軍人であるユリウス・カエサルが導入した新しい暦法、いわゆるユリウス暦が原因である。この年の長さは通常の一年を大幅に超える445日にも及び、歴史上異例の出来事として記録されている。
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ユリウス暦導入の背景
紀元前46年以前、ローマでは伝統的なローマ暦が使用されていた。この暦は月の満ち欠けを基準にしており、1年が約355日だったため、実際の太陽年(365日と約6時間)との間にズレが生じていた。このズレを埋めるため、時折「閏月」を挿入して調整する必要があった。しかし、この調整は政治的に操作されることが多く、ローマの暦は徐々に実際の季節と乖離していった。
ユリウス・カエサルはこの問題を解決するため、エジプトを訪問した際に知った太陽暦を基にした新しい暦を採用することを決定した。太陽暦は、1年を365日とし、4年ごとに閏日を挿入することで誤差を補正する仕組みである。