512歳というと生まれは1500年代の初めですから、日本はまだ室町時代(!)です。
日本で最も有名な武将の一人である織田信長が1534年生まれですから、彼より前に生まれたサメが今なお現役で生きていることになります。
これは現時点で、世界一長生きできる脊椎動物の最高記録となっています。
では、ニシオンデンザメはなぜそれほどまでに長生きできるのでしょうか?
研究者たちはまだ、その確かな答えを見つけられてはいません。
従来の仮説では、ニシオンデンザメが暮らす「超低温環境」と「あまり体を動かさないライフスタイル」が関係しているのではないかと考えられてきました。
しかし新たに発表された研究によると、ニシオンデンザメの長寿は「加齢によって変化しない代謝活動」に秘密があったようです。
ニシオンデンザメの長寿の秘密を発見!
代謝(metabolism)とは、あらゆる生物が生きていく上で絶対に欠かせない体の働きです。
具体的には生命活動に必要なエネルギーを作ったり、細胞の成長や修復などを担う一連の化学反応を指します。
そしてほとんどの生物において、代謝速度は年齢とともに低下していくものです。
これにより、エネルギー生産の低下、細胞の修復の遅延、および細胞を傷つける恐れのある有害物質を除去する能力の低下が起こります。
つまり、代謝速度の低下は「老化」の一側面でもあるわけです。
しかし、ニシオンデンザメのように500年も生きられるなら、加齢にともなう代謝速度の変化が起きていない可能性があります。
そこで英マンチェスター大学の研究チームは、グリーンランド沖にあるディスコ島付近で捕獲したニシオンデンザメ23匹から筋肉の組織サンプルを採取し、年齢ごとの代謝レベルを調べてみました。