資産運用の代表的な方法の一つに株式投資がある。ひとくちに「株式投資」といっても株は少額のものから高額なものまで銘柄によってさまざまだ。少ない資金でも購入できる銘柄や投資できる方法もあるため、「高額で手が出ない」と思っている人でも株式投資は可能だ。
この記事では株式投資の始め方や基礎知識について解説する。
株式投資の基礎知識
まず株式投資とはどのようなものか、概要や流れ、ポイントなどの基礎知識を確認していこう。
株式投資とは?
株式投資とは簡単にいうと株を購入して利益を得ることだ。企業が事業を進めていくうえで設備投資や人件費などさまざまな資金が必要となる。そのため、企業は経済活動により利益を得ていくと同時に資金調達を行う。金融機関からの融資や出資も資金調達の一つだ。
このうち外部からの出資による資金調達に株式が関係する。企業は、出資者から資金を調達する代わりに自社の株式を渡す。外部からの出資は、金融機関などからの融資と異なり返済する必要がなく、負債とならないなどの点が、企業にとってもメリットとなる。株式を受け取った出資者は、株主として経営に参加したり利益の分配を受けたりすることができる。
株式投資で得られる3つの利益
株式投資で得られる利益は大きく分けると「値上がり益(キャピタルゲイン)」「配当金(インカムゲイン)」「株主優待制度」の3つだ。
・値上がり益(キャピタルゲイン)
主に保有している株が値上がりしたときに売却して得られる利益のこと。売却益ともいう。上場株式等の場合は、市場が常に動いており株価が変動する。企業の経済活動が好調の場合は、株価も上昇する傾向のため、売却すれば利益を得ることが期待できるだろう。
・配当金(インカムゲイン)
配当金や分配金のこと。企業は、出資で得た資金をもとに経済活動を行うが利益が出た場合は、その一部を株主へ還元することもある。
・株主優待制度
株主に対して自社製品や優待券などを提供する制度。株主優待は、株式を保有してくれることに対する感謝を示したり、自社のファンを増やしたりすることを目的にしている。ただし株主優待はすべての企業で採用されているわけではないため、注意が必要だ。
そのほかにも会社解散時に会社に残った資産を分配して受け取る際の利益もある。
株式投資の前に考慮すべきポイント
株式投資をする前には、そのメリットとデメリットを把握しておくことが重要だ。株式投資は「上述したような利益を得られる」「株主総会に出席し会社の方針を決める決議に参加できる」といった点が大きなメリットといえるだろう。一方、利益を得られずに損をする可能性があることはデメリットだ。最悪の場合、出資した金額の全額がなくなることもある。
上場株式等の場合、株価は常に変動しているため、株式を保有している企業の業績が悪い場合は、売りたい人が増えて株価が下がる可能性が高まる。また、今まで配当金があったとしてもなくなる可能性もでてくる。さらに投資先企業が倒産した場合、株式の価値は0円になってしまう。このように株式投資は自己責任で投資金額が保証されているわけではないことは押さえておくべきだろう。
株式投資を始めるまでの流れ
上場している株式の売買は、証券取引所で行われる。株式の売買ができる証券取引所は、国内では「東京」「名古屋」「札幌」「福岡」 の4ヵ所となる。しかし、一般の人が証券取引所で株式の売買を行うわけではなく実際は証券会社を通じて行う。株式投資を始める主な流れは、以下の通りだ。
・1.証券会社に株式投資のための口座を開設する
証券会社に株式投資のための口座を開設するためには、申込書などの書類が必要だ。必要書類については、証券会社によって異なるため、各証券会社に問い合わせみるとよいだる。ネット証券の場合は、パソコンやスマホで、簡単に口座を開設できる会社も多くなっている。
・2.証券会社で開設した口座に入金をする
株式の購入は、証券会社で開設した株取引専用の証券口座から行うため、取引を始める前に証券口座に入金をする必要がある。
・3.証券会社の株取引のサイトなどで購入したい株に注文し、株を購入する
これで、株式を保有したことになる。配当金や株主優待などが目的で長期保有する場合は、売却せずに、この状態を維持することになる。
・4.株を売却する場合は、証券会社の株取引のサイトなどで売却の注文をする
売却する場合はサイトから売却注文を出す。利用している証券会社のサイトによって異なるが、一般的には口座管理から「売却」をクリックして売却注文画面を開いて操作することになる。
・5.証券会社で開設した証券口座から、銀行口座に出金する
証券口座サイトの出金指示画面から出金指示を出し、銀行口座に出金する。
少額投資は利益を出せるのか
株式投資をするには、数十万~数百万円などまとまったお金が必要と思っている人も多いのではないだろうか。しかし数万円程度の少額からでも株式投資は可能だ。例えば優良企業であっても10万円未満から投資できる可能性や1万円から始められる「ミニ株 」などの方法もある。
少額であっても原則利益を出す仕組みは同じで、「値上がり益(キャピタルゲイン)」や「配当金(インカムゲイン)」で利益を得ることができる。そのため少額投資であっても利益を出すことは可能だ。
次の項目からは、少額投資にどのようなものがあるのかを見ていこう。
1万円から始められる少額投資「ミニ株」
株式の売買は通常、決まった株数を1単位として行う。この売買できる株数のことを「単元」という。単元は100株と決められており、基本的には100株単位で売買される。例えば1株1万円の場合、1万円×100株=100万円の資金がないと購入できないことになる。
しかし証券会社によっては、単元未満でも売買できるサービスがある。これを「ミニ株」「単元未満株」などという(証券会社によって呼び方は異なる)。ミニ株であれば10株から株式を購入できるため、少額からの投資が可能だ。
ただしミニ株には以下のようなデメリットもある。
・リアルタイムで購入できない
ミニ株では、発注する時間によって前場の始め値、もしくは後場の始め値が購入価格になる。また指値注文ではなく成行注文しかできない場合がほとんどだ。
・株主優待が受けられないこともある
一定数の株を所有していることが株主優待を受ける条件となっている企業も多い傾向にある。そのため、ミニ株では企業が設定している株数に達していないため、株主優待が受けられないことがある。
このようにミニ株での株式投資をする場合は、事前にメリット・デメリットを理解しておく必要があるだろう。