そこでやるべきは、一般的な登山スタイルで近場の初心者向けの山に登ってみるのだ。そうすることで文字通り、山のようにデータが取れる。「登山という競技は楽しいのか?」「登頂から得た知見と改善点は?」こうしたデータを分析して、また別の山に登る。これを繰り返す過程でレベルを上げていけばいい。

一般的に小さく始めることの効果の大きさは非常に過小評価されている。「エベレスト登頂を目標にするのに、高尾山なんかに登っても時間のムダ」と思ってしまうのだ。だが、そもそもの登山の適性や自分の体力の確認、装備品の改善点などやってみないと分からないデータを取るには、小さく始めるのが一番だ。

これがもしもやる前から「1つ目はここ、2つ目はここ」と綿密に計画を立てると一気に挫折率が高まる。なぜなら最初に「こうするぞ」と自分を縛り付けると、「やりたい」という願望が「やるべき」というタスクに変わり、そうなると仕事と同列に扱われることで億劫になる。そして「自分はまだ準備中なのだ」という行動しない言い訳をし続けて年単位の行動しない期間を作ってしまうからだ。

そのため、まず小さく始める。そして走りながら改善点を考える。そうして少しずつ経験値と改善を繰り返していけば、気がつけば初心者、中級者、上級者へとステップアップしていくのだ。

入念な準備は要らない

筆者はこれまでの人生で新たな挑戦をする上で「準備」はあまりしたことがない。YouTube配信は手元にあったPC内蔵カメラを使って始めたし、記事執筆はプリインストールされていたMicrsoft Wordに書いて出してみた。その他、気になったらまずやってみる。

「いやいや、しっかり準備しないと失敗するではないか」という反論もありそうだが、むしろ自分は早い段階でたくさんの失敗を出すべきだと考える。本質的にその活動が向いているかどうかを見定められるからだ。

「ちょっとやってみたがうまくいかないのでもうやめたい」なのか「失敗するほど”どうすればうまくできるか?”という探究心が湧き上がって、1日中そのことを考えてしまう」なのか。その違いで分野への適性も正確にわかる。特に適性は実際にやってみないと絶対にわからないので、小さく始めて早い段階で見定めたいところである。