③2017年トランプ減税(The Tax Cuts and Jobs Act of 2017)の延長
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トランプ次期大統領が求めている「債務上限の廃止」は、民主党と超党派で取り組めば、間違いなく実現する。今年も民主党議員は「Debt Ceiling Reform Act※16)」を提出していて、実質的に廃止できる法案を提出していた。2017年にトランプ次期大統領とシューマー上院院内総務は廃止に向けた協議で合意したこともある。
トランプ政権の時に、成果を出したくないであろう民主党がどう出るかという問題もあるが、共和党内部の方から強い反発がありそうなのも確かだ。だったとしても超党派で取り組めば賛成多数で可決できるだろう。問題は、超党派で取り組めるかになりそうだ。
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トランプ次期大統領は、1月20日の就任初日に大統領令を複数出すと宣言している。しかし、関税など大統領権限が明確な大統領令を除けば、だいたい民主党の州司法長官から訴訟されて一時停止することになるだろう。
最高裁判事は共和党大統領の指名による判事が多いから、共和党の味方になる判断をすると思われる方も一定数いるようだが、決してそうではない。始原主義の立場で判断を下してくるので、立法が必要になってくる可能性も高いし、合衆国憲法改正を求めてくる場合もあるだろう。
もっとも、判決を待っているだけでも119会期(2025年1月3日~2027年1月2日)が終わってしまいそうなくらいだが。合衆国憲法改正は、ほぼ不可能と思っていい。
憲法改正には、連邦議会の両院で改正案が3分の2以上の賛成多数で可決され、さらに4分の3以上の州による承認を得る必要がある。連邦議会の票を3分の2獲得できることは極めて難しい。さらに、州議会をおさえているのは共和党の方が多いが、さすがに4分の3は超えていないからだ。超党派で取り組めるのならば可能性はあるかもしれないが、厳しいだろう。