日本テレビ

 日本テレビは12月4日(水)、従来に比べると報道的な要素の濃い1時間54分の『警察魂2024 悪い奴らは許さない!闇バイトを操る凶悪犯罪集団VS超スゴ腕捜査員』を放送した。テレビ東京の問題を教訓にして、かなり丁寧に制作しようという姿勢が見てとれた。警官が逮捕するシーンが次々に出てくるのだが、その都度、「暴行容疑で現行犯逮捕『暴行罪』2年以下の懲役または30万円以下の罰金等 その後 起訴猶予」「詐欺未遂容疑で緊急逮捕 『詐欺未遂罪』10年以下の懲役 その後 起訴」などと、その後、起訴されたか起訴猶予になったかどうかも詳しくテロップで表示していた。

 真冬の札幌・ススキノで酔っ払いの対応に追われる警察官たちの姿から始まる。『news zero』でキャスターを務める藤井貴彦アナがメインの司会を務めていて、報道番組として見せようとしている印象が強い。警察密着番組ではあまり登場しない特殊詐欺や闇バイト、いわゆるトクリュウ=匿名・流動型犯罪グループと呼ばれる集団の犯罪、さらにストーカー男による被害など、今日的な犯罪の捜査にかなり時間を割いていたのも特徴だった。ニュース番組で深刻な事件として報じられるような犯罪をより多く特集していた。

 特殊詐欺をめぐっては、実の孫を名乗る男から「上司の息子に金を渡してほしい」と言われた80代の女性が、警察に頼まれて上司の息子役の男(いわゆる「受け子」)に金を渡す場面を隠しカメラで撮影するなど、現在の犯罪現場を映像にしていて見応えがあるものだった。札幌のススキノ交番の女性警官への取材では、若い女性がオーバードーズで救急車で運ばれる場面も出てきた。自殺願望がある若者たちへの心のケアなど今日的な課題を提示し、相談窓口も示して放送していた。その意味ではテレビ東京の事件を経て、番組のスタイルを大きく変えたのが日本テレビだということができる。制作会社はディレクターズ東京。