その時点では、まだキーボードの配列は決まっていません。
しかし、この試作品が「E.レミントン&サンズ」という会社で実演されたときのことです。
代表のレミントンが、もとの配列を少しいじった「QWERTUIOPY」という別の試作品を作りました。
これに違和感を覚えたショールズが「Y」をもとの場所(TとUの間)に戻すように頼み、レミントンもこれを承諾。
ここに初めて「QWERTY配列」のキーボードが正式に誕生しました。
1874年に第1号のタイプライターを発売されると、またたく間に人気を得て、商業的に成功した世界初の執筆用機械となっています。
それでは、「QWERTY配列」が現在まで変わらなかったのはなぜでしょう?
QWERTYにしたのは「ある言葉」が打ちやすかったから?
よく言われるのは、「タイピストの打つスピードを遅くさせて、紙詰まりが起きないようにするため」です。
紙詰まりは、初期のタイプライターにとって大きな弱点でした。
とすると、QWERTY配列では、続けてタイプされることの多い2つの文字が遠くに離して配置されている、と予想されます。
ところが、事実はまったく逆なのです。
英語で一番多い並びは「T」と「H」ですが、キーボードを見るとすぐ近くにあります。また、2番目に多い「E」と「R」にいたっては隣同士です。
統計解析でも、QWERTY配列は、ランダムに配列したキーボードに比べ、続いて打つことの多い2文字が近くにある頻度が高いことがわかっています。
なので、この説はおそらく間違いでしょう。
もう1つの説は、QWERTY配列にすると、セールスマンが「TYPE WRITER QUOTE(タイプライターのお見積もり)」という言葉を1列目だけで素早く打てるので、顧客にウケるというものです。