パソコンのキーボードを見ると、左上に「Q」から始まって「W・E・R・T・Y」とキーが並んでいます。

これを「QWERTY(クワーティ)配列」と呼びますが、アルファベット順なわけでもなく全く意味不明な配列に思えます。

しかしQWERTY配列は今や世界のスタンダードとなっており、ノートパソコンからデスクトップ、スマホの仮想キーボードまで、すべてこの配列です。

誰もが日頃から接しているのですが、なぜこの配列になっているのか、知っている人は意外に少ないでしょう。

ここでは、QWERTY配列が生まれた歴史から、この配列になった理由まで見ていきます。

目次

  • 「QWERTY配列」のキーボードが誕生するまで
  • QWERTYにしたのは「ある言葉」が打ちやすかったから?

「QWERTY配列」のキーボードが誕生するまで

QWERTY配列のキーボードが生まれるきっかけになった場所は、1866年のアメリカ・ミルウォーキーにあった小さな作業場です。

そこで、クリストファー・レイサム・ショールズという新聞編集者が一獲千金をねらって、ある発明をしていました。

本のページ番号を自動でふってくれる機械です。

C.L.ショールズ
C.L.ショールズ / Credit: ja.wikipedia

しかし、1867年7月、ショールズはある雑誌で「タイプライティング・マシン」という短い記事に衝撃を受け、大きく方向転換します。

最終的に作ったのは「ペンで書くより2倍速く、考えたことを文字にする機械」、すなわちタイプライターでした。

ただ、この機械をタイプライターと認識するのは困難です。

白鍵と黒鍵にローマ字がふってあって、パッと見はピアノにしか見えません。紙詰まりが起きやすく、印字の行もズレがちでした。

結局、この機械は商業的にも失敗に終わっています。

ピアノ型のタイプライター
ピアノ型のタイプライター / Credit: ja.wikipedia

その後、ショールズは1872年に、ピアノ型をやめて、円形キーを配列したタイプライターを作りました。