第三者機関抜きの自己弁護
日銀はアベノミクスの異次元緩和を中心に、過去25年間の「政策多角的レビュー」をしました。安倍首相・黒田総裁が2013年から始めたアベノミクスは10年に及ぶ前例のない冒険であり、開始してから2、3年後には検証しておかなければいけなかった。今ごろになって公表しても「後の祭り」です。
アベノミクスは安倍政権、その同調者は「壮大な実験」ともてはやしていました。一方、当初から「こんな無謀なことを続けたら、足を抜けなくなる」と指摘する専門家もおりました。結果は批判派の指摘の通りになりました。「実験」であるなら、早期に検証し、軌道修正をしておくのが常識なのです。
さらに日銀当局による自己検証ですから、都合の悪い部分に触れたがらない。企業の不祥事でも、外部の専門家で構成する第三者委員会が調査、提言をするのが常識になっています。日銀は検証にあたって、外部の専門家の意見を聞くことは聞いたにしても、第三者機関による中立、公正な検証とは異質です。
日銀は自分たちが最高の金融専門家と思い込んでいます。その結果が巨大な負の遺産(巨額の国債保有、市場機能の喪失など)を生み、植田総裁が本格的な軌道修正をしようにも、身動きが取れない状態を招いているのです。アベノミクス、黒田・日銀の失敗です。日経新聞の見出しは「緩和長期化の代償、財政に緩み」と批判的です。日銀はもはや最高の金融専門家集団ではないことも立証されました。
「金融政策史上、最大の実験、最大の失敗で、日本経済の国際的地位の低下を招いた」という歴史的な評価が下される時がくるでしょう。
異次元緩和の結果、最悪の状態に陥ってしまった財政にしても同様で、主要国にあるような独立財政機関がありません。政治家とそれに追随する財務省によって、ずるずると赤字の泥沼にはまってしまった。大きな問題ほど、日本は政策の結果を検証をしない。国民民主党のように減税だけ要求して、その財源に責任を持たない野党ばかりだから、持続可能な財政は危うくなっています。