さまざまな趣味のなかでも、車はとくに「お金のかかる趣味」だと見なされています。とくに家庭をもってからは、「好きな車に乗れなくて当然」というのが世間的な認識かもしれません。
「独身時代はスポーツカーだったけど、子どもができてミニバンに」という例は、この国の至るところに見受けられるでしょう。一方で少数ながら、子どもができてからも趣味の車に乗りつづけている人たちも。
そういう人たちは一体、パートナーにどう納得してもらっているのでしょうか。今回は子育て世帯のなかで、「趣味の車に乗れている人たち」の話を聞きました。
目次
そんなセリフ、いわれてみたかった…
もともと車に興味ナシ、でも子どもが生まれ…
そんなセリフ、いわれてみたかった…
まず紹介するのは、結婚前からトヨタのスポーツセダンであるチェイサーに乗っているという30代男性です。子どもが2人生まれてからも、チェイサー1台を生活の足にしているといいますが、パートナーはどのように考えているのでしょう。
「昔から妻がドライブ好きで、『マニュアルを運転しているアナタが好き』みたいに話してくれていたんです。私としては子どもが生まれたタイミングで、ミニバンに乗り替えるのもアリかなと思っていたんですけど、むしろ妻の方が『マニュアルに乗りつづけてほしい』と。
なので結婚前から乗っているチェイサーを今も維持していて、買い物も旅行も全部これ1台ですね。妻は『マニュアル降りたらアナタはアナタじゃなくなる』といっていますけど、それはそれでどうなんですかね。
環境的に車は1台あれば十分な感じで、現状で不便に思うこともないですし、たぶんファミリーカーに乗り替えることはないと思います。あるとしたら、足用に軽を買い足すくらいですかね」(30代男性・会社員)
家庭をもってから車の趣味を続けるうえで、「パートナーからの理解」は非常に重要なポイントです。こちらのケースの場合には、むしろパートナー側が「趣味を続けてほしい」というスタンスであり、車好きとしてはかなり恵まれた環境だといえるでしょう。
もともと車に興味ナシ、でも子どもが生まれ…
次に紹介するのは、5歳の息子さんを育てている30代男性です。なんでも、車の趣味に目覚めたのは「子どもが生まれてから」だそうで……。
「自分の場合、そこまで車が好きというわけではなかったんです。結婚前から私は通勤用の軽に乗っていて、妻は子どもができてから軽からシエンタに乗り替えて。別にそれで何も不満はありませんでした。
でも息子が車に興味をもちはじめてから、自然とスポーツカーのことを調べるようになったんです。息子と一緒に街中の車を見て、『あっ、GT-Rだ!』とか言い合うのが楽しかったんですよね。
それでちょうど、私の車が11年目の車検をどうするかというタイミングで、せっかくだしスポーツカーを買ってみたいと思ったんです。妻は最初『本気でいってるの?』という感じでしたけど、スポーツカーは価値が落ちにくいという話を又聞きで伝えて、何より息子も喜ぶだろうということで、GR86を買いました。
最初はマニュアルの操作に苦労しましたけど、通勤も楽しくなりましたし、息子がドライブではしゃいでいるのを見ていると、買ってよかったと思います。軽に比べると維持費はかなり高くなりましたが、妻もそれだけの価値があるとは思ってくれているみたいです」(30代男性・会社員)
スポーツタイプの車だけでは、子どもの送迎や荷物の多い買い物など、子育てのなかで不便に感じる場面も増えると考えられます。そのため「家にもう1台ファミリーカーがある」という条件は、趣味の車を購入する際の前提となることも多いでしょう。
さらにこちらのケースでは、「もともと車が趣味ではなかった」という点も大きいのかもしれません。結婚前から車にお金を注ぎ込んでいれば、パートナーから結婚後の生活を不安視されると思われますが、そうでなければ「新しい趣味」というフラットな見方をされるケースもあるでしょう。