自転車に乗る瞬間というのも、たくさんの失敗経験を積み重ねる中で、瞬間的に飛距離を伸ばせるコツを掴んで突然乗れるようになる。特に初心者の段階は失敗をあれこれ経験する中で、少しずつ「これをやってはいけないな」というNGポイントを拾い、それを回避し続ける過程で上達していくのだ。

記事でも動画でも、全体の10%のコンテンツが90%のアクセスを作るものである。つまり、少数のヒット作が成否のほとんどを決める。レストランの人気メニューなんかも同じで、1-2個の看板メニューがほとんどのお客さんを連れてくる。

だがそのヒット作は狙って一発で作れるものではない。筆者は過去に1記事で150万PVのアクセスを稼いだことがあったが、これは寄稿先のメディアで7年間書き続けて偶然に出た産物に近い。

また、気まぐれで書いた記事が編集者の目に止まり、商業出版が決まったり、執筆後1年越しに番組制作会社の人が見てテレビ出演のオファーにつながったりと人生やビジネスにポジティブな影響を与えるヒットがあった。これらのヒットはまず数を出さない限り、決して出ることはないのだ。

無言で何年もバットを振り続ける

よく、ビジネスの施策を打つことを「野球でバットを振る」という表現にたとえられる。これは本当に的を得た表現だ。

これをやっても正直、ほとんどは空振りやしょぼいヒットに終わる。だが、最初はそれでも構わない。やってみてダメでもそこから学べる点は非常にたくさんある。とにかく無言でバットを振り続ける。

でも考えすぎる人は、「こんなことやっても意味はないんじゃないか」と心が折れて早々に放り出してしまう。そこで諦めずにそれでも淡々と振り続けられる人だけが、偶然にホームランをかっ飛ばすことができるのだ。それには「強靭なメンタルの持ち主」というより「まあ最初の段階で考え過ぎてもあんまり意味はないし」と少しくらい楽観的な人に向いている。