新幹線や在来線の特急料金は据え置き

 では、今後も値上げが続く可能性はあると考えられるのか。

「JR東日本に限らず、JR旅客会社の運賃の収支構造はいびつであると考えます。基本的にはJR旅客会社の収支は新幹線や特急列車で巨額の利益を計上し、また在来線のうち幹線の普通運賃でも利益が上がる一方、大都市圏を含めた幹線の通勤定期運賃は赤字、地方の利用者の少ない線区は大赤字となっていて、こうした部門の欠損額を利益で補填する構造となっています。

 今回のJR東日本の運賃改定の申請で最も印象的であったのは、新幹線や在来線の特急料金がそのまま据え置かれたという点です。同社は国土交通大臣の認可が必要となる新幹線の特急料金は上げたかったらしいですが、いまでも同社の利益のほぼ半分を占める超優良の部門ですから、手を付ける気はなかったと思います。

 今後も運賃値上げは行われるでしょう。JR東日本が今後も鉄道事業を維持するためには、通勤定期運賃や地方の利用の少ない線区の運賃の見直しが必要だからです。前者は前項でも触れたように割引率の引き下げが必要で、それが無理ならばせめてラッシュ時だけでも運賃を上げるピーク時運賃の導入、後者は黒字化は無理としても赤字額の減少のための運賃改定が求められます。

 なお、現行の総括原価制度では運賃値上げの余地をつくるためにコストの削減が必要です。だからといって、利用者が多い駅であるにもかかわらず『みどりの窓口』を閉鎖するとか、東京都心の駅でありながら時間帯によっては駅員のいない無人駅にするといった極端なコストダウンで困惑する利用者が大量に発生しないことを望みます」

(文=Business Journal編集部、協力=梅原淳/鉄道ジャーナリスト)

提供元・Business Journal

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