AIは主役ではなく、優秀なサポーターである。サポーターの力を活かすにはその本来の役割を理解し、的確に指示を出す必要がある。これは会社経営にも似ていて、優秀な従業員の実力を引き出し、自社につなぎとめるにはまず経営層が優秀であることが必要なのと同じだ。

AIを絶賛する人、AIに冷めている人

AIを絶賛する人、冷めている人に分かれる理由は結局、利用者が上手に引き出せる力の有無であり、AIのモデルが優秀かどうかではないのだ。

たとえばモデルが向上するたびに「質問力」というより「状況説明能力 」が重要性を帯びるように変化した感じている。従来のモデルは検索エンジンの代わりのような動作だった。

しかし、最新のモデルはこちらの状況を説明すれば、「どうすればいいか?」という答えそのものを複数投げてくれる賢さがある。下手に自分で「こういう答えを出して」と選択肢を1つに絞ってしまうより、AIに選択肢を提示させるやり方も使える。そうなると、相手に考えさせる客観的状況説明やデータをたくさん投げる力が必要になる。

これは人間相手でも同じで、言語能力を高めなければ「色々と話をするが何をいいたいのか分からない」となってしまえば、的確な回答を出せない。また、そもそもの課題を正確に認識する力がなければ、AIに相談する土台に立つことも出来ないのだ。

そうなると結局、必要なのはAIの性能以上に使用者のレベルなのである。課題が見えていない、言語化する力がない、メタ認知能力がないのでは、AIが優秀でもAIに投げることができないためだ。

AIを絶賛する人の中には「モデルが新しくなるたびに絶賛する人が博士号取得者や研究者レベルになっているのは、AIの実力を引き出すハードルが上がっているから」と見る人もいる。結局、AIを生かすも殺すも人間の実力次第ということであり、今後も勉強の必要性はさらに高まった。日々、知恵を磨かなければ、AIを使いこなす知恵者に仕事を総取りされてしまう可能性がある。結局、我々人間は一生勉強し続けるしかないのだ。