アビスパ福岡 写真:Getty Images

2024年12月13日、アビスパ福岡は長谷部茂利監督の後任として金明輝(キン ミョンヒ)新監督の就任を正式に発表した。2023~2024シーズンは町田ゼルビアでコーチを務めチームの躍進に大きく貢献した金氏だが、サガン鳥栖の監督だった2021年にパワハラ問題が表面化し指導者ライセンス降級処分を受けるなど世間を賑わせたため、今回の就任に関して様々な意見が飛び交い話題になっていた。

金監督就任について一部サポーターやスポンサーが様々な声明やコメントを発表しているが、その是非はさておき、戦い方や新戦力など来シーズンの福岡がどのように変わるのか考察していく。


金明輝監督 写真:Getty Images

複数得点を奪えるチームへ

2020シーズンから5年間指揮を執った長谷部茂利前監督のサッカーは、福岡の象徴とも言える堅守速攻のサッカーだ。これまでのクラブの歴史を見ても、爆発的な攻撃力を持ち複数得点で相手を圧倒するというよりは強固な守備から素早い攻撃で得点を奪うスタイルで、いわゆる“ウノゼロ”(1-0)での勝ち方は福岡の典型的な勝ちパターンのひとつと言えるだろう。

この傾向は数字にも表れており、2024シーズンの失点数は38でリーグ4位の少なさ。1位から3位までを町田、ガンバ大阪、ヴィッセル神戸と上位陣が占めており、それに次ぐ4位がリーグ12位の福岡という点からも守備強度の高さが窺え、J1でもトップクラスと言える。一方で得点について見ると、総得点は33とJ1でワースト。リーグ最下位の鳥栖が48、19位の北海道コンサドーレ札幌が43、18位ジュビロ磐田が47という数字を見るとやはり物足りなさを感じる。

これについて金監督は先日の就任会見で「守備がベースにあるからこそ攻撃が少し疎かになることもありますが、攻撃でも迫力を持って、人がたくさん関わり追い越すような、そういった思い切りのいいサッカーをしっかり表現したいと思います」「攻撃的にチームを構築していきたいと話しておりますが、守備を疎かにするつもりはありません。その辺のバランスをしっかりと見ながらチーム作りをしていきたいと考えています」と語っており、クラブの持ち味とも言える守備力の高さを維持し、課題と言われている得点力不足をどう解決していくか、新監督の手腕に期待したい。


アビスパ福岡 サポーター 写真:Getty Images

観客動員数への影響