■謎に満ちた西欧キリスト教会の態度

史上最大の“聖母出現”事件の真相!なぜエジプトで聖母が繰り返し現れるのか?
(画像=ジョット・ディ・ボンドーネ作「エジプトへの逃亡」 By © José Luiz Bernardes Ribeiro, CC BY-SA 4.0, Link,『TOCANA』より 引用)

 以上の話は『新約聖書』に書かれているにもかかわらず、聖家族がエジプトでどのように過ごしたか、西欧のキリスト教会は一切関知しようとしない。その態度は、まるで「エジプト逃避」を無視したがっているようにさえ見える。

 しかし他方、エジプトのキリスト教徒であるコプト教徒の間には、エジプトでの聖家族の行動についてさまざまな伝説が伝わっており、イエスとその両親はエジプト南部アシュートにまで足を伸ばし、そこに滞在したと言われている。そして、たとえ一夜限りといえども、聖家族が滞在したと伝えられる場所には、必ず教会が建てられている。聖母マリアが出現した前述のザイトゥーン聖母教会、そしてショブラやワラークの教会は、いずれもそうした伝説が残る場所なのだ。

 なお、フランスのルールドやポルトガルのファーティマなど、ローマ法王庁が認めた事例では、聖母が目撃者にさまざまなメッセージを伝えたと言われているが、エジプトの聖母事件にそのような報告はない。しかしエジプト人たちは、聖母マリアの出現それ自体が、もっとも重要なメッセージであると考えている。

 なぜ、西欧のキリスト教会は、聖家族の「エジプト逃避」に触れようとしないのか。そして、そのエジプトで聖母が繰り返し出現する意味とは――。ここに、何らかの興味深い関係が隠れているのかもしれない。

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史上最大の“聖母出現”事件の真相!なぜエジプトで聖母が繰り返し現れるのか?
(画像=『TOCANA』より 引用)

文=羽仁礼

提供元・TOCANA

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