そして実は、歯ブラシ以外にも、私たちがよく使用するアイテムで細菌が繁殖しやすいものがあります。

それはシャワーヘッドです。

シャワーヘッドは、湿度が高く温かい環境にさらされることが多く、乾燥する機会がほとんどありません。

またシャワーヘッドの内部では使用後に水が溜まりやすく、これが細菌の繁殖を助けます。

そしてシャワーを使用した時に空気中に放出される「微小な水滴」には細菌が含まれており、特に病原菌が空気中に拡散することで、免疫力の弱い人に悪影響を及ぼす恐れがあると分かっています。

実際、2009年のコロラド大学(University of Colorado)の研究では、アメリカにある45個のシャワーヘッドが分析した結果、非結核性抗酸菌(肺の病気を引き起こす)が一般的な都市水道水に含まれる100倍以上検出されたと報告されています。

こうした話題はよくテレビなどでも特集されていたりするので、聞いたことがある、一応気にして掃除や交換をしているという人は多いでしょう。

しかし、身近に存在する目に見えない微生物は細菌だけではありません。

ここには同様にウイルスも潜んでいる可能性があるのです。

細菌とウイルスの違い

細菌は微生物の一種ですが、「ウイルス」も微生物の一種です。

細菌とウイルスは同じ微生物に含まれますが、細菌が細胞を持ち、細胞分裂により自己増殖できるのに対し、ウイルスは細胞を持たず、宿主細胞の中でしか増殖できません。

大きさも全く異なり、細菌が1~10μmなのに対し、ウイルスはその1/10~1/100のサイズです。

細菌学のスペシャリストだった野口英世が最後は疫病の原因を特定できずに亡くなったのも、彼の生きた時代には電子顕微鏡がなくウイルスを見ることが出来なかったからだと言われています。

それくらいウイルスは細菌と比べて小さいのです。

このように細菌とウイルスでは構造が大きく異なる他、大きさもかなり異なるため、当然ながら感染症になった場合の治療法も異なります。

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細菌とウイルスの違いは? / Credit:Canva