バンクーバーは語学留学だけではなく、CO-OPと称される一種の専門学校に通いながら就労できる仕組みが充実しています。学校は概ね一週間で4、5日程度の履修になるので残った時間で仕事ができ、座学終了後、一定期間就労できる条件になっています。座学期間中は週20時間までで座学終了後や学校が休みの時期はフルタイム(週40時間)の就労が可能になっています。

その為、ワーキングホリディ、語学留学、一般的な大学への留学、更にCO-OPの学生と実に様々な若者であふれている、それがバンクーバーの実態です。

その学生に人気が高い就学プログラムがデジタルマーケティングとホスピタリティです。就労先は学業と一定の関係がないとダメですので就労ビザがあるといっても簡単に仕事にありつけるわけではありません。ホスピタリティならレストランやカフェでもOKですが、デジタルマーケティングとなるとかなり分野は狭いというのが実態です。

デジタルネイティブの方々、特に10代から20代前半の方はノートパソコンすら使わない人もいらっしゃいます。iPhoneが日本で紹介されたのが16年前の2008年ですから鉛筆よりもスマホになってしまいます。とすれば自分が大人になった時、デジタルネイティブの世界しか知らないのでどうしてもそちらの学校や職業になびきやすい、これが実態ではないかと思います。ではデジタルマーケティングで一体何をしたいのか、と言えば案外よくわかっていない、というケースもあるようです。

metamorworks/iStock

ましてやそのデジタルノウハウに基づき、起業をしようというのは個人的には超難関だとみています。理由は「勝ち抜けない」からです。よほどの想像力と巨額の資金力と寝なくても耐えられる体力とどんな凹みにも堪えうる忍耐力をもってしても勝率は数%、つまり100人のうち数名程度ではないかとみています。つまり残りの大半はどこかの企業のデジタル部門に就職するということです。

AIとITが世の中にさらに浸透すると既存の職業が淘汰されるというのは長く言われてきたことです。高橋洋一氏は士業のように規制で守られている業種が危ないと指摘しています。それは一理あるでしょう。例えば税理士はなぜ必要なのか考えたことがありますか?税ほど数字のルールに基づくものはありません。ならば完全自動化することはさして難しくはないのですが、そんなことをすれば「おまんまの食い上げ」になるので政府も推進しないわけです。